• 高岡洋詞

GOMESS BANDインタビュー#2 「初めて聴く音楽だし、誰ともかぶってない」


 マンスリーでお届けするGOMESS BANDインタビュー2回目は7月22日、下北沢GARAGEでのライヴ終演後に行った。4人組になって3回目だが、見るたびに大きく変化していて、急成長の最中なのがバッチリ伝わる。出来たての新曲「SANMI」もちょっと形容が難しいユニークなナンバーで、急速にmikichuのキーボードや歌、Mitsuyoshiのギターの存在感が増してきているし、GOMESSのプロデューサー/ディレクターとしてのスキルアップも如実。手応えは誰よりも本人たちがいちばん感じているようで、「俺ら何でもやれるっしょ」的な強気モード全開。話を聞いているだけでワクワクするし、機材を売りながら新しい楽器を購入するなどの苦労話もあくまでポジティヴに、ユーモラスに響く。Mitsuyoshiが実家に帰省するため欠席だったが、終盤にLINEで参加。その純朴な文面がバンドの雰囲気のよさを物語っている気がした。

手前から矢車、Mitsuyoshi、mikichu、GOMESS

──今日は4人になってから3回目のライヴでしたね。

GOMESS ベースの不在はやっぱでかいです。今日はすごく思いました。難しい。なんで生のベースがいいかっていうと、別のアンプから浮かせて出してるからなんですよ。今はベース込みでミックスした音源をDJで流してるんですけど、ちゃんと鳴るようにと思って音量を出すと鳴りすぎちゃうんですよね。でもベースを削ると、削らなくてもいいとこまで削っちゃう。細かいイコライザーはついてないし、PAもそんなレベルではやってくれないから。今日は優秀なほうだったけど、ダメなところでやったらひどい音になってたと思うし、そうなるとこっちでやる必要がある。だからベース専用のプレイヤーを一個作って、別のラインで繋いで、単純に同時に鳴らすっていうのが解決策かなって思ってます。俺が本当にミックスうまくなれば、ワケないんですけどね。

mikichu ゴメッシーはむっちゃ頑張ってますよ。わたしはクラシックだったからピアノの音の違いはわかるけど、音圧とかはわからないし、アイドル時代もミックスやマスタリングに極力立ち会ってきましたけど、全然違うから。変に口出して混乱させるのもイヤなんで、信用してま〜すって感じでお任せです。あと基本、iPhoneのクソ付属イヤフォンで聴いてるし(笑)。

GOMESS それでいいんだよ。みんなiPhoneのクソイヤフォンで聴くんだから。

mikichu わたしは一般の耳担当として頑張る。

GOMESS Mitsuyoshiがけっこう聴けるんで助かってますね。ってか俺といちばん長く一緒にいて、ひと晩中、俺の好きな音楽を解説つきで聴かせたりしてたんで(笑)。「なぜこの音はこの音になるんでしょうか」みたいな。それで音感が強くなってきてるんじゃないかと。リズムに乗る練習とかさせてますからね。教わることに対してすごく熱心な人だから、教えがいがあります。

──前回インタビューしたの、ちょうど1か月前ですよね。

GOMESS 今日は何の日か覚えてますか? みなさん!

mikichu & 矢車 覚えてる!

GOMESS じゃあ行くよ。せーの!

矢車 結成した日!

mikichu 初めてみんなで練習した日!

GOMESS そうそう。結成記念日なんですよ。

mikichu やぐ(矢車)は来れなかったんだよね。わたし「DJが来る」って聞いてて、こんな感じの人だと思わなかった(笑)。もっと大人の怖い人が来るんだと思ってた。「今日は仕事で来れない」って言われてたから。

GOMESS そしたらこんなガキが来ちゃって。

mikichu 少年が。

矢車 イェー。

GOMESS 毎月22日は高岡さんにインタビューしてもらう日ということで、みんな空けといてください。

mikichu 記念日は大切にしたほうがいいですよ。

GOMESS 先に言っときますけど、来月の22日には確実にもう2曲ぐらいできてますから。次の曲はもう頭の中ではできてるんですよ。展開まで全部。あとはこれを具現化していくだけ。その過程で、俺が「♪タンタンタン、みたいな」とかざっくりしたことを言って、mikichuがそれを踏まえてちょっとずつ違うメロディをいくつか出してくれるんですけど、それで「そんなのあった?」みたいにどんどん変わっていくのが楽しいんですよ。俺らのバンドは作曲と編曲を誰がやってるかっていうのがけっこうむずいんですけど、作曲は俺で、編曲はGOMESS BANDで、ディレクションが俺って感じ。

──mikichuから違うアイデアが出るのは、カルチャーが違うから?

GOMESS それもあるけど、単純にmikichu自身の感性だと思います。

mikichu 感性だけで生きてます。音楽理論は全部やったけど全部忘れました。別に必要ないなって。でも知らないうちに助けられてると思う。親がピアノを習わせてくれたおかげですね。

GOMESS 俺がヒップホップやるとき、初めて聴いたビートでも必ずはめれる自信があるんですよ。たぶんリズムの絶対音感みたいなのがあって。それと同じようなもんだと思います。

──ピアノも前に見たとき(6月16日、代官山LOOP)とだいぶ違った気がします。

mikichu 毎回全然違うんですよ。譜面も書いてないし、全部適当。今日ライヴ中にすごい弾き方を思い出したんです。下からドゥルルルルみたいに弾くやつ(グリッサンド)。「わたし、かっこいいやつ持ってたわ」って思って、すぐやりました。

GOMESSとmikichu(7月22日、下北沢GARAGE)

●今日はマジ「終わったな……」って思いました(矢車)

──前にお話を聞いたときからどう変わったか、メンバーはそれぞれ認識があると思うけど、部外者にもわかるように説明するとすると、どんな感じですか?

mikichu それは大事ですね。わたしのアイドル時代からのファンの人も「前のライヴから変わったね」って言ってくれたし、説明お願いします。

GOMESS 俺的には昨日から今日にかけてのミックスの違いがとにかくでかかったですね。前回のインタビューで音の空間の話をしたと思うんですけど、俺、めっちゃミックス勉強したんですよ。それで奥行きと高さがわかるようになってきて、音を立体で捉えられるようになってきた。何が変わったかっていうと、ライヴハウスで音を鳴らしたときに、前はのっぺりしてたんですけど、空間ができたんです。だからギターもちゃんと馴染むし。4人になってから最初の2回のライヴは、音響がすごくしっかりした場所じゃなかったのもあるんですけど、ぶっちゃけ音源がクソだったって俺は思ってて。音響がよくない環境で、なおかつあんまりよくない音を鳴らしてた。それは俺が悪かった。そこが今回いちばん変わったところだと思います。

──矢車くんは今日のライヴはどうでした?

矢車 俺は細かくこの音がどうとかは言えないんですけど、いちばんみんなが見える場所にいるんで、トラックと生演奏がどうしてもぶつかるっていうか、消えちゃうのを感じるんですよ。「ギター聞こえねえな」とか、「この音のときはハイハット全部潰れちゃうな」とか。でも今日は全部の音がちゃんと聞こえました。自分のモニターは自分の音しか出してもらってなかったんですけど、すごいミックスしやすかった。それはGOMESSさんのミックスもあるし、PAさんもうまかったと思う。

GOMESS マジか。うれしい。昼間すげえ殺気立ってたんですよ、俺。

矢車 マジすげえイライラしてた(笑)。

GOMESS ごめんね。矢車いなかったらほんとやばかった。死ぬほど頭痛いのに、朝からむっちゃくちゃ頑張って、うれしい発見もあって、この感動をバンドで共有したいのに、誰ひとり反応しねえ!って思って、「クソが! 解散してやる! 全員の人生壊せ!」みたいな(笑)。声に出さない怒りを込めてキーボードを叩いてました。「クソッ、もっとよくしてやる。これだけ変わったら気づいてくれるかな?」みたいな。俺は天才なんですよ、確実に。

mikichu 天才は孤独だから。

GOMESS 「なぜこれが誰にも伝わらないの!」みたいな、めっちゃ怒りに震えてボイコットしかけてたところに矢車が来てくれて、「あ、矢車いるし行こう」みたいな気持ちになれました。

矢車 俺も超ビビってました(笑)。

GOMESS スピーカー殴ったあたりでやばいなって思った。

矢車 ドア蹴って外出てったとき「終わったな……」って思いました(笑)。

GOMESS 頭冷やしに行ったんだよ。

矢車 戻ってきたら落ち着いてたから。

mikichu 先に会場着いたチームも「今日どうしよう……」みたいな。リハできないと思ったんで、リハなしの方向でどうするかみたいな。「GOMESSくん入りました」って聞いて「よし!」って。

──矢車くんは何か言いましたか?

矢車 俺にできることは特にないので、一緒にいることぐらいしか……。

GOMESS 一緒にいて相槌を打ってくれればいいんですよ。それだけで助かる。

矢車 最近、仕事終わりとかたまにGOMESSさんちに行くと、だいたい制作してるんですよ。ミックスごとにすげえ変わるから、それが面白くて。「すげえことになってる!」みたいな。「SANMI」とかは特に、先月、高岡さんが来てくれたときに作り始めて、全然違う風になってるし。

GOMESS そう。あのときは4小節のループを作っただけですけど。

mikichu 一度完成したんですけど「サビを全部変えます」って言われて、サビが完全に抜かれた音源が送られてきて。家に帰ってきて聴いたら「ン?」って(笑)。で、制作に行くじゃないですか。で、例のところを録り直して、あー終わったって思ったら「ラスサビも変えます」って言われて「あ、はい……」みたいな。キーボードは音色がいろいろあるから、サビを変えることになったら4トラックぐらい全部録り直しになるから、「はぁ〜」って思ったんですけど、いま聴くと変えてよかったなって思います。わたしは一度これってなったら揺るがないタイプだから、みんなが「この曲やばい、最高だね」ってなった後に変えるゴメちゃんの決断がマジすごいって思った。それは自分の人生になかったものだから。だからすごく楽しいけど、終わりがないよね。

──mikichuにとってはバンドをやること自体が発見の連続って感じですね。

mikichu ピアノの後はアイドルで、オケで歌ってたんで、誰かと合わせるってこと自体が新鮮ですね。1年くらい前に、所属してた事務所で体制が替わって、全然しらない人ばかりの環境になったんですけど、「歌はかぶせればいいから、歌えなくていい」って言われて、すごく不満だったんですよ。歌がやりたくてアイドルを始めたのに「歌はどうでもいいから」みたいに言われてムカついたから、音楽を真剣にやるってこと自体が楽しいです。アイドル現場はアイドル現場で今も大好きだけど、音楽に失礼な現場も残念ながらあると思う。ちゃんとやってる人はやってるけど、残念なことが多すぎるんですよ。いまはそういうことがないし、何年も来てなかったファンの人がふと来てくれたりして。「正直アイドル現場にはもう疲れちゃってよくわかんないけど、バンドはすごくいいね」みたいな。

GOMESS そんな人がいるんだ。

mikichu それも新しい発見なんです。ゴメバンを始めて、わたしは「ちゃんと音楽をやろう」と思いました。

──ファンの人たちはゴメバンについてはどう言ってますか?

mikichu すごく寛大ですね。アイドルみきちゅをやめて、たくさんのファンがいなくなっちゃったけど、残ってくれてる人はどんなことも一緒に楽しんでくれるっていうか、新しいわたしの発見を共有してくれるんですよね。ゴメバンはまだ4回しかライヴやってないけど、すでにリピーターになってくれてる人もいて。ほんとファンの人に感謝だし、みきちゅを知らない人が早くゴメバンのキーボードmikichuのファンになってほしい。早くNAVERまとめに「かわいすぎるキーボーディスト」としてまとめられたい(笑)。

──GOMESSくんのファンは?

GOMESS あんまりまだ見てくれてないんじゃないかなー。まだ音源出してないし。

──ヒップホップ系のお客さんはいませんよね。

GOMESS ヒップホップ系のお客さんは来ないっす(笑)。2年くらいほぼ来てないっすから。そういう現場でやってないし。

Mitsuyoshi(7月22日、下北沢GARAGE)

●天才しかいないんです。だからみんな孤独(mikichu)

──レパートリーは順調に増えていきそうですか?

GOMESS 俺、小学生中学生のころ、ずっと頭の中で作曲してたんですよ。話し声も物音も、すべてを音楽として捉えてたし、音楽のことしか考えてなかった。いっちばん音楽に純粋だったころ。そのときの感じが甦ってきてるんです。だから生活がすごく楽しいです。さっき矢車が言った、いつもミックスしてるっていうのはそういうことで、いつも何か浮かんじゃうから、ずっといじってないとやばいみたいな。それか音楽聴くか。聴いてたら何か浮かんじゃうし。今日もライヴ見て、頭の中に2曲ぐらい新曲ができてるから。

──頭の中の曲を形にするときって、GOMESSくんはいまのところ楽器を弾かないから、mikichuやMitsuyoshiくんにイメージを伝えて弾いてもらうやり方をするんですよね。面倒なことってないですか?

GOMESS 伝わらないときは苦しいけど、だいたい伝わらないのってリズムなんですよ。でもリズムは打てば伝えられるから。「音程はわかんないけど」ってリズムだけ鍵盤で叩くと、mikichuが音楽的なフレーズに置き換えてくれる。二人ともそういうタイプなんで。頭の中のものだからざっくりとしか伝えられないんですけど、それらしい感じにしてくれるし、「違うな」ってなっても再度、ジェスチャーみたいな表現でどんどん理解してくれる。

mikichu ゴメちゃん、自分が違うと思った瞬間にレコーディングを止めるんですよ。「いいテイク録れてんな」みたいなときだと「え〜っ」って思うけど(笑)、「わたしはこっちがいいと思うんだよね」って言うと「やっぱりそのほうがいいね」ってなることもあるし。

GOMESS mikichuも自分が弾いてて「違うな」って思ってやめることもあるじゃん。おんなじだよ。「えっ、それいいじゃん、弾き続けてよ」って思うし。Mitsuyoshiは常にそれ。あいつ、いいメロディほど気づかないで弾くから(笑)。

mikichu みっつんはすごい感性の持ち主ですね。ほんと天才しかいないんです。だからみんな孤独(笑)。かわいそう。

GOMESS 俺は浮いてるやつを見つけちゃうんですよ。アイドル現場で浮いてるmikichuと、バンドで孤立してるギタリストと、俺は見てないけど、たぶんDJ業界で浮いてる矢車と。

──矢車くんどうですか? 浮いてますか?

矢車 スタイルは浮きますね。単純に年齢のわりにレコードでやってたりするし。

mikichu カセットだもんね、音源が(ミックステープ『Untitled』)。

矢車 ヒップホップが最近カセットに行き始めてんのがうざい(笑)。俺、1年以上前からカセットってずっと言ってるのに。

GOMESS すげえかっこいいですよ。大人が喜ぶDJだよね。

矢車(19歳) ガキが喜ばないんす。

GOMESS 絶対、気持ちいいグルーヴしか流れないから、音を純粋に楽しめれば楽しいんだけど、若いやつは「これあの曲だ」って要素がないとダメだから。

矢車 最近すげえ思うのは、最近のクラブはディスコ化してるなって。それはいい意味でもあるんですけど。EDMってザ・踊る曲じゃないすか。音じゃなくて踊れるかどうか優先だから。80年代90年代にはレア・グルーヴみたいなのがあって、例えばMUROさんとかの世代のおじさんたちは、音を楽しみにクラブ行ってたと思うんですよ。いまは「とりあえず踊れるとこ行きたい」みたくなってきてて、中年の人もそれに引っ張られちゃってると思う。だからヒップホップとかファンクがかかっても「音数少ねえな。クソ音楽」みたいな。俺は「おまえら踊ってんじゃねえ」って頑固にやってるんです(笑)。

GOMESS 音の感じ方が全然違うよね。体がしならないんですよね、あいつら。それ踊ってるって言う?みたいな。

矢車 マジで踊れる曲って胸から行くんすよ。

GOMESS そう! 下半身も腰が揺れるじゃん。

矢車 ワカメみたいになるのがいいんですよ。

──ゴメバンの音楽はそういう意味で言うとダンスミュージックではないですよね。

GOMESS 絶対違いますね。ノリで一曲ぐらい作ってもいいかなとは思ってますけど。

mikichu わたしはわりとそういう曲ほしい。

GOMESS 世界観が揺らいじゃうから、もっと曲増やしてから。

mikichu お客さんがいま、ノッていいのか静かに聴いたほうがいいのか、ちょっと戸惑ってるかもって。気にしないお客さんは好きに楽しんでると思うけど。

GOMESS 次集まったらできるよ、一曲。

──どのくらいのペースで集まってるんですか?

GOMESS 週2〜3ですかね。

──そりゃ物事が進むのも早いわ。みんな大変じゃないですか? お仕事とか。

矢車 イェー、今日は俺は仕事をやめてきたぜー! アーイ?

──アーイ? じゃねえよ(笑)。

GOMESS おとといmikichuとMitsuyoshiはアンプと壊れたオーディオインターフェースハードオフに売りに行って、それぞれ値付けが500円と300円だったぜー!

矢車 イェー! アーイ? ポウポウポウ!

GOMESS オーディオインターフェースは「さすがに300円は……」ってことで、Mitsuyoshiが300円以上で買い取ることになったぜ!

mikichu ゴメバン最近、何を売ったかの話題ばっかりなのに、利子とか含めると16万円くらいのキーボードをローン組んで買ってしまったので、みんなマジ頑張りましょう。

GOMESS 頑張ろうね。

──とりあえず稼いでいきたいですね。

GOMESS 高岡さん、俺らね、売れますよ。新曲の「SANMI」と「Break Of Day」は、今日家で聴いて、売れないわけないって思った。

矢車 マジ『Mステ』クォリティ。

mikichu やばい。『Mステ』出たい。

GOMESS 初めて聴く音楽だし、誰ともかぶってないし。俺思ったんですけど、SEKAI NO OWARIってそういう存在だったんだろうなって。みんな「あそこまで行くとは思わなかった」って言うじゃないですか。全然行くんじゃん。俺らはビッチにはなりたくないんですよ。絶対に媚びたくない。俺らいい曲作ってるから。

──聴きにこいよ、ってスタンスですね。

mikichu そのスタンスは本当にかっこいい。

GOMESS それで行こう。

──前回のインタビューでmikichuが言ってた「続けていれば必ず波はくるから、そのときにいいものを作ってることが大事」って話がすごく印象に残ってるんですよ。

mikichu やりたいことをもっともっと突き詰めていけば、どのくらい時間かかるかわかんないけど、ふっとわかりやすい曲ができると思ってるんです。自分たちも最高だし、音楽に詳しくない人も「この曲超いいじゃん」みたいに言える絶妙なラインの曲ができたときが、そこかなって。

GOMESS 「Break Of Day」と「SANMI」はわりとそのタイプの曲だと思うよ。

mikichu 「SANMI」も最初のデモのときに、わたしはいちばんJ-POPの一般的な耳を持つ人だから「もっとサビがわかりやすいほうがいい」とか「退屈じゃない?」とか言ったけど、そのときは「いや、これがいいんだ」みたいな空気だったんですよ。でも、結局がっつり変わってサビ感がすごく出て、退屈じゃなくなったし、むしろ4分が超あっという間だった。そこが境界線を越えた瞬間だと思うんです。本当に音楽好きな人たちが気に入ってて、一般的な耳の人が退屈って思ったものから、どっちも素晴らしいと思えるものになった。数学とかであるじゃないですか。その丸が二つあって重なるとこ。ここ、ここ!

──集合だ。円が重なるとこですね(笑)。

mikichu そう、それ! 集合、集合。

GOMESS 俺は全体像をしっかり作りたいんですよ。俺はみんなが帰った後にいじるから何回も聴くんですよ。「SANMI」も1000回くらい聴いてるんですよ。寝るときもずっとかけながら寝るし、トイレ行くときもイヤフォンで聴いてるし、風呂に入るときもドアを少し開けて聞こえるようにするんですよ。水のノイズで聞こえなくなって、それで発見することもあるんで。だからmikichuが言う退屈だって意味もわかる。100回ループしたら退屈なんですよ(笑)。

矢車 そりゃそうだ。

GOMESS あと単純にサビが全然盛り上がらないから。歌わないし、掛け合いになるだけだからね。

mikichu うんうん。

GOMESS でも、それももともとmikichuが倖田來未misonoの掛け合いのやつをやりたいって言ってて。

mikichu コラボの神曲があるんです。「It's all Love」

矢車 あれいいよね。

GOMESS そういうのを書こうとした結果なんですよ、あの曲は。

──まさにそれぞれの持ち味がいい具合に重なったわけですね。

GOMESS そうですね。全部混ざったと思う。

mikichu その境界線を、一曲だけじゃなくてゴメバンがバンドとして越えた瞬間が、マジ、サマソニだと思います。「出れんの?サマソニ!」に出ようよ、って言ったら(GOMESSが)「出れるよ!サマソニ!」って(笑)。

GOMESS 言いました、俺は。出れるよ。オファー来るよ。

mikichu わたしも「よっしゃ!」と。そろそろ親を喜ばせたいと思います。

8月8日、代官山FEVERでのライヴ(撮影:宮本昇

●僕は今とっても楽しいことをしている(Mitsuyoshi)

GOMESS おっ、MitsuyoshiさんからLINE来ました。“おつかれさまです! 今日のライブどうだった?”って送ってたんだけど、それへの返信が“おつかれさまでした! 今日のライブはとても気持ちよく演奏できました。トラックが毎回よくなっていくし、リハからどれくらいの音で鳴らしたらいいかしっかり合わせることができたので、バランスよく鳴らせた感じがしました。今日はゴメスがいつもより声を張らなくても届くステージだったので、雰囲気もより出たと思います。個人的には「伝説」がエモい感じでできたので、うれしかったです”。

矢車 中学2年生か(笑)!

──かわいいな、Mitsuyoshiくん。

mikichu かわいい。

GOMESS Mitsuyoshiさんはテンションがいいんですよ。ちなみに、10分前くらいに“前回のインタビューから1か月経ちましたが、どう変わりましたか?”って送ったら、すぐに“いま書く”って返信来たんで、故郷に向かう電車の中で頑張って書いてると思います。ぼちぼち来るんじゃないかな。

mikichu みっつんって最初「コミュニケーションが全然とれない人だから」みたいな説明受けてたけど、全然違うね。

GOMESS でも俺と初対面のときはほんと何もしゃべってくれなかったんだよ。「あ、GOMESSさん、あ、『カーテンのない部屋』とか、あ、すごい、好きです」みたいな。絶対こっち見てくれないんですよ(笑)。

mikichu 中学のときはめっちゃ元気だったけど、いつからかふさぎ込むようになったみたいなこと言ってなかった?

GOMESS 高校で飲まれたんだっけ。

mikichu そうそう、カースト上位の人たちに飲まれて……って言ってたけど、最近超元気だよね。遠征のときとかマジノリノリ。

ヤット(スタッフ) 静岡にライヴしに行ったとき、MCバトルに出たんですよ。

──えー!

GOMESS しかも1勝してるんです。

──えええー!!!

GOMESS 相手が服をディスってきたんですよ。そしたら「確かにこの服かっこいいよ、だけど全部ユニクロ! お母さんに買ってもらったよ!」とかアンサーしてて(笑)。やばかったね、あれ。心残りはmikichuが出なかったのと矢車が負けたことです。

矢車 1回戦負けでした。

GOMESS 勝ったやつが決勝戦出てきたんだよね。

矢車 大将がボコしてくれました。

GOMESS そいつ、矢車に勝ってMitsuyoshiに勝って決勝で俺に負けたんですよ(笑)。

矢車 俺、負けたし、サングラスなくしたし。

GOMESS あれはおまえが投げるのが悪い。

mikichu イベントオーガナイザーの人が勝手に「それはもらっていいそうです」とか言うから。

GOMESS あ、Mitsuyoshi来た。長え!

 “変わったことというか、それぞれのメンバーがお互いの性格を理解してきた気がします。過ごしてる時間が増えていくほど、みんなのことが少しずつわかってきて、それがすごく楽しいです。特にやぐるー(矢車)はバリアを張ってくる人間なので、少しずつ心を開いていってもらえたらうれしいです。mikichuはなんだか不思議な性格で、まだつかみきれてないので、次のインタビューまでにもっとよく理解していくのが目標です。GOMESSは性格が変わるので、どんなふうに変わっていくのでしょうか。次会うときはどんな感じなのか、それが楽しみでもあり、たまに怖いです。とってもいいチームだと思うし、俺はみんなのことをもっと知りたいと思ってます。サウンド面では音楽制作のスタイルが1か月経って固まってきたと思います。自然に役割も決まってきたと思います”

矢車 手紙か!

──ちょっと泣けてきちゃった。

GOMESS バランサーなんですよ、Mitsuyoshiさんは。“最後にひと言”って送っときますね。

mikichu わたし、そろそろ帰らなきゃ。

──じゃあmikichuも最後にひと言お願いします。

mikichu 最近、「芸能界って怖いな〜」って思うことがたくさんあって、結局芸能界と音楽業界はつながってるから怖くなって、ゴメバンのみんなに「もう下着屋とかで働きたい」って言うんですけど、みんなが音楽をやめないようにいろいろしてくれるから。このバンドでマジで売れようって思いました。1か月後はもっといい精神状態でお会いしたいです(笑)。

GOMESS 気をつけてね。

mikichu お先に〜。

──Mitsuyoshiくんってあんまり喋らないから何考えてるかわからないと思ってましたけど、こんなピュアなこと考えてたんですね。

GOMESS すっごいおしゃべりですよ。

──人見知りなんだ。

矢車 そうですね。

GOMESS そこも変わってきたし、俺がすごい叩いてるんですよ。二人でいるとき、けっこうまじめな話して「それでいいんすか?」とか詰めてるんで(笑)。「GOMESSって自分の直感が正しいって思えるじゃん。正しいと思って進むこと自体、俺には難しいし、なおかつそれが正しくて、すげえなって思う」みたいな。「でも普通に考えたら歌うアホウドリ一本でやってればいいところをゴメバンやってくれてるじゃないすか。直感で動いてるんですよ!」「そうかな?」みたいな。

──直感は正しいし、正しくするのは本人ですからね。

GOMESS 正しいっすよ。全員の直感が正しいとは言わないですけど、俺の直感は正しいってのは明確に言える。正しくないかもって思ったときは予防線張るし、いつも(笑)。……Mitsuyoshiさん、“最後にひと言”への返事きました。“今日のライヴを見て思ったのが、曲だけではなく見せ方が大事だなと思いました。どんな動きをしているかで聞こえ方がだいぶ変わると思うので、そのようなステージングを今後考えていきたいなと思います。何より僕は今とっても楽しいことをしているなと思っているので、それを報告しに実家に帰ります。今日はありがとうございました”(全員拍手)。それを報告するために実家に帰るのか。

──明るいなぁ、前途が。ますます売れそうな予感がしますよ。

GOMESS でしょ。確信がどんどん強くなってきました。去年の5月かな、mikichuと出会ったときからずっと、あの子は絶対音楽で売れるべきだとずっと思ってて……思ってただけなんですけど。いま結果的にこうして音楽の道を選んでくれたのがすごくうれしいです。Mitsuyoshiも同じで、前からフツフツと感じてたことをたまたま俺と出会ったときに強く感じて一緒にやることにしたみたいな感じなんです。たぶんmikichuにもそういうフツフツはずっとあったと思うし、矢車が仕事でめっちゃ忙しいなかDJやってるのももちろん知ってて、音楽でメシ食えたら素敵だなって、俺は勝手にずっと思ってたんです。

──今日のライヴを見て、GOMESSくん中心のバンドからmikichuの目立ち度が上がってきた感じがしました。おそらく構想のなかでは、ひとまず彼女を立てて、そのあとMitsuyoshiくんと矢車くんも目立っていくように……って感じなんじゃないかと。

GOMESS そうですね。矢車がいちばん最後だと思うけど。俺も扱い方がまだよくわかってないし、矢車自身がライヴでの振る舞い方を身につける必要もあると思うし。唯一、演奏家じゃないから。でも演奏家のセンスは絶対にあるんで、技術を身につける時間が必要なんです。実践で解決できると思うけど。

矢車 イェー! アーイ?

(2016年7月22日)

DJ矢車(7月22日、下北沢GARAGE)

[PROFILE]

ごめす……1994年生まれ、静岡県出身。2012年に『BAZOOKA!!! 第二回高校生ラップ選手権』に出場、準優勝。以降、「自閉症と共に生きるラッパー」として注目され、YouTubeにアップした楽曲「人間失格」 で脚光を浴びる。2014年、LOW HIGH WHO? PRODUCTIONSから1stアルバム『あい』、翌年には2nd『し』を発表。フリースタイルから生まれる彼にしか書けない言葉は多くの人の心を捕らえ、ドキュメンタリー映画『遊びのあと』(太田達成監督)やETV『ハートネットTV』、NHK総合『ニッポンのジレンマ』、テレビ朝日『フリースタイルダンジョン』などメディア出演も多数。今年4月には他者を表現する初めての試みとして『情景 -前篇-』をリリース。

GOMESS BAND(仮称)はシンガーソングライターmikichu、歌うアホウドリのギタリストMitsuyoshi、GOMESSの相棒というべきDJ矢車との4人組。

http://www.lowhighwho.com/GOMESS/








#カ〜コ #ヒップホップ・ラップ #ロック #音楽 #GOMESS #ゴメス #mikichu #みきちゅ #Mitsuysohi #矢車 #GOMESSBAND #ゴメスバンド #インタビュー

  • Twitter Social Icon
  • Facebook Social Icon
  • Instagramの社会のアイコン
  • Tumblr Social Icon

© 2016 Takaoka Hiroshi. Tokyo, Japan.