• 高岡洋詞

GOMESS BAND(ゴメスバンド)第一声「俺らは4人で100人分の演奏ができる」


 いつまで「自閉症を克服したラッパー」のイメージで俺を見てるの? と言わんばかりに、GOMESSが急成長を遂げている。「アイドルシンガーソングライター」の看板を下ろして新たな活動をスタートさせたmikichu(みきちゅ)こと瑞稀ミキとのユニットlittleAct(リトラ)の始動、初めて他者の物語を歌ったアルバム『情景 -前編-』の発表と、次から次へと新しい扉を開いている彼の次の一手は、「バンド」である。

 メンバーはGOMESSに加えて、mikichu(キーボード、ヴォーカル)、歌うアホウドリのメンバーでもあるMitsuyoshi(ギター)センチメンタル岡田とがんばれ根本くんバンドでピアノを弾くセンチメンタル岡田(ベース)、そしてGOMESSのバックDJを長く務める盟友・矢車(DJ)。6月10日、SEKAI NO OWARI主催イベント「clubEARTH 10th Anniversary」(新木場STUDIO COAST)でのデビューは衝撃をもって受け止められ、多くの観客を魅了した。僕は間に合わなくて見られなかったけれど、16日代官山LOOPでの2度目のライヴは見せてもらった。

 見た人たちの絶賛に納得できる素晴らしいステージだったし、さらなる変化・成長の予感に満ちてもいた。いま話を聞いて記録しておきたい、とインタビューを申し込み、22日にメンバーが集まると聞いて東高円寺のGOMESS宅を訪れた。

左から矢車、GOMESS、mikichu、Mitsuyoshi(撮影:高木あつ子

●セカオワのイベント出演をきっかけに結成

GOMESS 最初に言いたいことがあるんです。今日ここに集まってるメンバーなんですけど、GOMESS、mikichu、Mitsuyoshi、矢車。GOMESS BAND、以上4人組になります!

──えっ、どういうことですか?

GOMESS 今日の夕方にベースのセンチメンタル岡田さんが脱退しました。

──なんと! ビックリだけど、4人組での再スタートですね。おめでとうございます!

GOMESS ありがとうございます。ここにいるメンバーはみんなその気持ちをわかってくれていると、俺は信頼を置いてます。

──ただのバンドじゃなくて仲間であると。

GOMESS もちろんです。大げさな言い方ですけど、スタッフをやってくれてるヤットさんも含めて、みんなの時間を奪うのは人生を奪うことだと思ってるんです。俺は。時間と人生は直結してるし、金を生むのも時間、愛を育むのも時間だから。この先、もちろんいろんなことがあるだろうし、別れることもあると思うけど、たとえ今日だけでも、人生単位で預かってると思ってます。mikichuもMitsuyoshiも矢車も、これから持ち場をもっと明確にしていって、それぞれ目立っていくとは思うけど、少なくとも現段階では俺のバンドみたいになってるから、何か起きたら確実に俺の責任なんですよ。売れるも売れないも、もちろんみんな次第だけど、俺がいちばんトチっちゃいけない位置っていうか。岡田さんが抜けても俺がいればGOMESS BANDだけど、俺が抜けたら別のバンドになっちゃう。だから面持ちだけは一丁前でいます。

──前からバンドをやりたいって思っていたんですか?

GOMESS まったく思ってなかったです(笑)。

──どういう経緯で結成したんですか?

GOMESS 最初は岡田さんなんですよ。前に何度か一緒にやったことがあるんですけど、STUDIO COASTのオープニングアクトのオーディションに応募したって言ってて、俺はソロで出ることがすでに発表されてたから、冗談半分で「岡田さん、落ちたら俺のセットで出ればいいじゃん」って言ったら、わりと本気にしてくれて。俺、本気で「やりたい」って言われたらいつも一回シミュレーションするんですけど、やりようによってはできるなって思って、いろいろ考えてたときに、ちょうどMitsuyoshiさんとコラボ曲を作ろうよって話になって。初めてスタジオに入ったときですよね。

Mitsuyoshi そう。

GOMESS 歌うアホウドリとは一回対バンしてたから面識はあったけど、ちゃんと話したのは初めてでしたよね。ギターの音色がすごく好きで、最初は「コーストでフリースタイルやるんで、トラック作ってくれませんか」って相談したんです。そのうち「ていうか、生でやんないすか」って話になって、まず「カーテンのない部屋」をやろうと。岡田さんのピアノとMitsuyoshiさんのギターと、あとDJがいたら完璧だなって思って、矢車しかいないけど忙しいかな……ってとこまで考えたところで、「カーテンのない部屋」のピアノだったら岡田さんよりmikichuのほうが合ってるな、って思ったんです。岡田さんはジャズっぽい手数の多いフレーズはうまいけど、クラシックベースのしっとりテンポを刻むみたいな演奏は得意じゃないから。でも、mikichuを誘うってことは、最初のきっかけだった岡田さんを弾くことになっちゃうから、どうしようかな……って迷って相談したら、ネルさん(Paranel)に「両方呼んじゃえば?」って言われたんですよ。「いいほう選べばいいじゃん。GOMESSのステージなんだから選ぶ権利はあるよ」「そ、そうすかね」みたいな(笑)。それでとりあえず集めてみて、矢車にもほぼ同時に声をかけて、最初は来れなかったんだけど、次の集まりからくることになって。

mikichu わたし、バンドだって知らなかったんですよ。ぼくのりりっくのぼうよみのPVを見たらゴメちゃん映ってたよ、って連絡したら「ぼくりりと対バンするけど見にくる?」って言われて、ちょうどエムトピミズタマリ篠原ゆりと結成したユニット)がひと段落ついてヒマしてたから「いいよ」って言ったら、「本当はピアノを弾いてほしかったんだよね」って言われて、「やるよ、ヒマだし」みたいなノリで返事したらバンドだったっていう(笑)。

GOMESS 誘えないなって思ったの。その直前までめっちゃ忙しかったじゃん。

mikichu 5月1日に渋谷のduoでフェスをやったんです。あまりに忙しくてその後の予定を入れるヒマがなくて、ポッカリ空いちゃったんですよ、1か月ぐらい。ちょうどわたしもアイドルをやめて半年ぐらい経って、ラップにもちょっと興味が出てきたし、かっこいい音楽をやりたいなって思ってたから、すごくラッキーなタイミングで。

GOMESS みんなにあんまりちゃんと言わないで、とりあえず集めたんです(笑)。俺もどうするか決めてなかったし。俺はけっこう「あるものでどうにかする」っていうのはちっちゃいころから得意なんですよ。サイコロ一個で100の遊びを考えれるタイプなんで。見て、この人がこんな感じだったらこっちはこんな感じかな、とかずっと考えて、結果、岡田さんにベースにスイッチしてもらって、きれいにハマった感じでした。

──本番までに何回ぐらいリハーサルしましたか?

GOMESS けっこうやったよね。

mikichu 4回かな。うち1回はわたし欠席で。

GOMESS スタジオには3〜4回入ってるよね。誰かひとりだけ俺と一緒にいる時間もけっこうあったし。俺は正直、あの期間、バンド以外のこと何もやってなかったんですよ。みんなもかなり時間を割いてくれて、熱を感じたし、俺自身もモチベーション高かったから、みんな仕事があったりするのにこんなにやってくれるんだったら俺は24時間専念するぞ、って。人に文句を言えるのは人より頑張ってるやつだけだって思ってるんで。

──ライヴ前に作ったデモ音源を聴かせてもらって、これはすごい! と思いました。

「月光」と「ALL FOR ONE」を収録した『1st demo』(CD-R)はライヴ会場で販売中

GOMESS あのピアノはmikichuが自分の部屋で録ってるんです。

mikichu そうなんですよ。本番の5日前に具合悪くなっちゃって。その夜、涙が出てきたんです、不安すぎて。こんな大舞台で、みんなも関わってるのに、自分のイベントもかぶり出しちゃって、どうしよう……って。わたしも楽しみだったし、プレッシャーと「ヤバいことしなきゃ」みたいな感じもあったから、夜中に泣きながら弾いては送ってました。みんなが朝までやってるのを知ってたから、申し訳なくて。わたしはけっこう楽させてもらったから。

GOMESS Mitsuyoshiさんはバイト失ったからね。

Mitsuyoshi めちゃくちゃな時間に寝て、朝起きれなくてクビになったんです。

GOMESS あれは俺が悪いんですよ。ちゃんと起きて起こせばよかった。

Mitsuyoshi 確かにそうかもしれない(笑)。

GOMESS ミュージシャンってどこか後先考えないっていうか、クソガキ要素があるじゃないですか。俺はそう思ってるんですけど、矢車はこのなかでいちばんのクソガキで、いちばんの苦労人でいちばんかっこいいと俺は思ってます。

矢車 あざーす。

GOMESS 苦労しすぎて大人になりすぎちゃうと音楽なんてできないんだよ。「だってそれ稼げなくないすか?」ってだけになっちゃうから。

矢車 そういうことだね。そういうことだ! (ICレコーダーに向かって)よく聞いとけ!

GOMESS いつでもおまえ!

矢車 ぶっ殺してやっかんな! それがマ〜イ……

全員 スタ〜イル!

撮影:高木あつ子

●どうだ、これが俺らのスタートだ! よく見とけ!

──10日のコーストは遅れて行ったんで見逃しちゃったんですけど、知人友人が異口同音にすごかったと。GOMESSのライヴを何度も見たことがある人も「これまででいちばんよかった」って言ってたし。ご本人たち的にはどうでしたか?

GOMESS これはひとりずつ言っていこうよ。

──GOMESSさん指名してください。

GOMESS Mitsuyoshi!

Mitsuyoshi はい!

矢車 学校みたい(笑)。

Mitsuyoshi 急造バンドだったんで不安もすごくて、もともとメンタルも強くないんで、どうなっちゃうのかな〜っていう思いでステージに上がったんですけど、やっぱ他のメンバーがすごく──mikichuは女ですけど──男らしいとこを見せてくれて。「伝説」の彼女の歌も、本番ではすっげえ気持ち入ってて、GOMESSも深瀬(慧)さんを煽ったりして、震えそうになりました。次からはもっと頑張りたいなって思いました。

GOMESS えっ、反省(笑)?

Mitsuyoshi 反省はあった。みんなの気持ちについていけてなかったかもしれないって。でもほんとにありがとうって気持ちでいっぱいでした。

GOMESS 高くつくぞ(笑)。次は矢車いこうか。

矢車 はい! 俺はGOMESSさんとは1MC1DJで3年前ぐらいからずっと一緒にやってて、そうとうお互いマジブチ切れたりもしながらやってきたんで、今は普通の30分くらいのライヴなら楽しんでできるんですけど、バンドになると見なきゃいけないのがMCだけじゃないじゃないですか。「Amazing Grace」では一回mikichuと息を合わせたりしなきゃいけないし。難しいなって思ってたんですけど、本番が迫ってくると、なんかもっと違う感覚的な、雰囲気的なもので怖くなってきちゃって。「俺、できんのかな」みたいな。それでリハから本番までの間に具合悪くなって、すげえ冷や汗出てきて、誰かにダル絡みしてないと不安でしょうがないみたいなモードに入っちゃってたんです(笑)。でも、実際ステージに立って、「Amazing Grace」のピアノが入って、俺がドラム鳴らして、GOMESSさんが喋り出した瞬間に、なんか全部ぶっ飛んで、「よっしゃあ! 始まったぜ!」みたいな気分になったんですよね。何千人もいる前で俺たち5人だけでやってんだぜ、俺もそのなかにいるんだ、みたいな。もちろんGOMESSさんのおかげで立ててるんですけど、やり終えたときは「こっから俺ら始まっかんな。よく見とけよ!」みたいな雰囲気があって。反省点は特にないです。ライヴでは失敗も味だと思ってるんで。あとケータリングの豚汁が超おいしかったです(笑)。

GOMESS みきさん。

mikichu わたし的には「GOMESSくん別にバンドやんなくてよかったんじゃない?」って思われるのがすごくイヤで、キーボードができる人がたくさんいるなかから選んでもらったからには「キーボードめっちゃよかった」って言われたいし、「原曲よりバンドのほうがよかった」って言われたかったんです。この曲やりますってLINEが来たときに「エモいライブにしたいです」みたいな一文が添えられてて、エモいライヴって何なんだろう、やっぱり今までに感じたことがないものを作らなきゃ、とかすごく悩んだんですけど、悪いところは悪い、いいところはいいってはっきり言ってくれるからやりやすかったし、みんなの気持ちがひとつになって最後までできたと思います。

 「人間失格」を初めてリハでちゃんと合わせたときにめっちゃ感動して、本番で泣いちゃうなって思ったんですけど、やぐちゃん(矢車)と一緒で、本番であの曲が始まった瞬間、「どうだ、これが俺らのスタートだ! 見とけ!」みたいな気分になりました(笑)。練習よりもめっちゃアレンジ入れてやれたと思うし、「伝説」も今まででいちばん気持ちを込めて歌えたし。しかも全部、計算じゃなくてそのときのテンションで。すごくいいライヴができたと思います。あと、わたしが出るって決まった時点でもうチケットは完売してたから、わたしのファンの人はひとりもいなかったんですけど、「キーボード、mikichu!」って言った瞬間、全然聞いたことない女の子の声で「みきちゅー!」って聞こえて、わたしが選ばれた意味がちょっとでもあったなっていうか、ここに来れてよかったなって。これからも一緒にいい音楽やりたいって思いました。あとお母さんがセカオワのファンなんで、招待してあげて恩返しができました(笑)。ゴメちゃんにも恩返ししていきたいと思います。

6月16日、代官山LOOPで(撮影:田村玲央奈

──ヤットさん、観客サイドからひとことお願いします。

ヤット ソロのGOMESSのステージはやっぱり内面から出る孤独感がすごくて、たまに深く潜りすぎちゃって浮上してこないまま終わっちゃうこともあるんですけど、バンドとやることで、みんなに支えられてなのか、その孤独感がなくなったり、ときに増幅されたりもしてて、より楽曲が深まった感じがしました。特に「伝説」はmikichuがサビを歌ったんですけど、今まで聴いたことない響き方をしてて、それがお客さんにも確実に伝わってたし。僕はGOMESSのステージこれまで何十本も見てますけど、そのなかでもダントツだったと思うし、ソロでは絶対にできないステージだったなって思います。何人かのスタッフで一緒に見てたんですけど、終わったあと「ゴメちゃん、よくやったね〜」って泣きながら楽屋に行くみたいな(笑)。

──GOMESSさん本人は?

GOMESS 反省点ばっかりですけど、気持ちよかったのはみんなと同じところで、さっき矢車が言った「Amazing Grace」でピアノからドラムが入って、そのあと俺が喋ってるときの妙な空気感。あれって今まで作ったことのない空気だったんですよね。うねりのようなものを感じて、時空が歪んだみたいで。ただ、音楽サイコー!みたいな気持ちよさじゃなくて、おかしくなっていく感じなんだけど。俺が関与できないパートであるあそこを矢車とmikichuがトチらずに進めた時点で、もうケツまでいけるって確信してました。あと、たぶん「ANTI-HERO」(セカオワのカヴァー)のイントロでお客さんがどよめいていく感じは、全員気持ちよかったんじゃないかなって。

Mitsuyoshi 「まさか」感があったよね。

GOMESS 内緒にしててよかったって思った(笑)。

mikichu こだわり尽くした「ANTI-HERO」だったからね。「聴いてください!」っていう気持ちで。

GOMESS 自分たちの曲より力使ったから。普通はカヴァーって、自分たちの曲はできるからせっかくだしイベント用にもう一曲作っちゃう?って感じでやるものだと思うけど、俺ら「ALL FOR ONE」とかより先に作ってたよね(笑)。セカオワがいるからできたものだと思うし、自分たちのなかではある意味ファーストシット感があります。あと「人間失格」は、あのシンバルがシャーンシャーンって鳴った後、ドラムがバンッと入って、全員の音がいっせいに鳴る瞬間。あの気持ちよさには何も勝てないよね。あれはマジ、セックスより気持ちいい。タイ古式マッサージもジェットバスも勝てないよ(笑)。

Mitsuyoshi あれ不思議だよね。毎回思う。

GOMESS なんだったらスタジオでも思うじゃん(笑)。

Mitsuyoshi 思う思う。

矢車 何かの爆発だよね。あれ。

GOMESS クソなライヴしてもあの一曲だけはカマせる自信がある。それぐらいの曲ができたし、それが俺のなかでいちばん古い曲だっていうのが感慨深いんですよ。まだまだよくなると思うし。

mikichu 早くもっともっといろんな人に聴いてほしい。誰かの人生変わるよね。

GOMESS そう。人の人生変えれる曲だと思う。

mikichu マジUVERworld現象。

GOMESS あの曲のドラムは俺が打ち込んだんですけど、矢車のDJが肝でもあるんですよ。普通ヒップホップのバックDJってかけたらかけっぱなしだけど、矢車はエフェクターをかけたりして「演奏」するんです。スネアだけリヴァーブかけてフワーッて広げたりとか、小細工がすげえかっこよくて。それは俺が作った時点ではなかったものだし、ソロでライヴやるときにはできないことだし。世間一般にはDJって「ポン出しでしょ」とか「スクラッチやるんでしょ」とかのイメージだと思うけど、矢車の立ち位置は今後どんどん「演奏家」になっていくと思います。で、俺らが売れたら音楽シーンにも影響を与えますよ。バンドにおけるDJかっこいい! って思って、DJでバンドに入りたいって子がいっぱい増えると思う。矢車よりも下の世代の子たちが「軽音部でDJやりたい」って言い出す時代が来たら超やばいと思う。

矢車 来てほしい! 俺的には。

GOMESS そうするとバンドっていうもののあり方もどんどん変わっていくし。ミュージシャンはそこにある楽器を鳴らすことしかできないけど、DJは用意してきた音をさらにその場で加工できるから、可能性が無限大なんですよ。矢車がトラックを変化させながら演奏して、一本筋を通したところに、ギターMitsuyoshi、ベース岡田、キーボードmikichuと、全員が入ってくるんですよね。ヤットさんが言ってた「みんなに支えられてる」っていうのは本当にそうで、「人間失格」は特にそうだと思う。みんなの音がまわりから包んでくる感じ。

6月16日、代官山LOOPで(撮影:田村玲央奈)

●メンバー4人で補い合えばベースは要らない

──その5人で2回ライヴをやって、今後は4人になるわけですよね。今日はまだわかわない部分が大きいと思うけど、この後、どうなっていくと思いますか? たとえば1カ月後にまたインタビューしたら、検証できますよね。今のヴィジョンというか、意気込みでもいいんだけど、聞かせてください。

GOMESS これもみんなに訊いていこうか。まずMitsuyoshi。

Mitsuyoshi エレキベースっていうのはバンドにはだいたい必ずいる楽器じゃないですか。それがいなくなっちゃったことで、明らかに下の音を担当する人が必要なんだけど、それを何らかの形で補うことができるのかどうか。そこは実験したいし、さらに面白い形になると思ってます。ギターに関して言うと、他の楽器は全部ラインで出せるんですけど、唯一生音なので、今後はもっとあったかい音の、アコースティック系の楽器も使ったほうが映えるのかな、とか思ってます。

GOMESS 矢車。

矢車 このなかでGOMESSさんと俺はヒップホップを軸にR&Bとかソウルとかファンクを聴いてきて、けっこう生音に憧れる派なんで、軸になるドラムのビートをもっと勉強して、いろいろできたらいいなって思ってます。ディスコっぽいのとか、ブギーっぽいのとか、シティポップに寄せるのもアリだし、もっとヒップホップっぽいドラムにみんなでエモさを足していったり。バンドあんまりやったことないんで、生音に関してはあんまりわかんないんですけど、もっと幅っていうか、器をでかくできたらいいなって思ってます。

GOMESS DJらしいよね、受け皿を強靭にしていくっていう発想が。

矢車 どんな具を乗っけても大丈夫みたいな。

GOMESS オマールエビでも来いみたいな。

矢車 俺エビアレルギーやねん(笑)。

GOMESS タラバガニでもフグでも。

矢車 任せて! ってなんで全部魚介なんすか。どれも食べれないよ俺(笑)。

GOMESS mikichu。

mikichu わたしはもともとクラシック生まれのアイドル育ちで、UVERworldが大好きで音楽をやろうと思ったんですけど、ずっとオケか自分の弾くピアノで歌ってきたから、誰かと何かを共有したときの気持ちよさ──グルーヴっていうんですか。それを感じずに生きてきたから、ゴメバンではグルーヴを感じていきたいし、さっきもここで曲を作ってたんですけど、ひとりでやるときとは判断も全然変わってくるっていうか、第三者がいい悪いって言ってくれることでテンションも上がるし、いいって思われたいから頑張るし、自分のなかでちゃんと音楽と向き合ってる感じがするんです。そうして互いにいいと思うものを取り入れながら活動していけば、リピーターも増えるだろうし、YouTubeから広がっていくかもしれないし、可能性が広がりますよね。

 本当にまじめに頑張っていれば、絶対どこかのタイミングで波はくると思うんです。突然フェスに呼ばれたり、急に配信が伸びたり。そのときがすべてなんですよ。そのときにいいものを出してないと、後からどんなにいいものを出したとしても、潰れちゃう。だから、いつきてもいいように頑張っていかないとなって。波がきたときにやってたのが、まわりから言われてやらされてる音楽だった、っていう人もたくさんいると思うんですよ。それで売れても、その後に自分の好きな音楽をやったら受け入れられなくて、ファンもいなくなって……とか。でもGOMESSくんがいる限り、世間体を気にしてやりたくないことをやるって選択肢はないと思うから。本当にみんながいいと思うもので世の中に受け入れられたいと思います。

──というみんなの話を受けて、GOMESSさんどうぞ。

GOMESS みんな育ちが違うじゃないですか。Mitsuyoshiさんは唯一バンドでやってきた人で、矢車はブラックミュージックとか古いレコードが好きで、mikichuはクラシック生まれのアイドル育ちでJ-POPとかがルーツにあって、ハウスっぽいものとかエレクトロとかも聴いてたりする。すっごくざっくり言うと、軽い音がわかってる人と重たい音を求めてきた人と、壊れた音を作ってきた人とがいて。でも俺、Mitsuyoshiさんが好きなのは、ロックバンドなのに、サビでしょうがなくディストーションかけるみたいな。

Mitsuyoshi そうだね(笑)。本来はそういう性格じゃない。

GOMESS 基本クリーンな音を作ってくるイメージがあって、そこが好きで声かけたんです。俺はどうかっていうと、一周して「アカペラいいじゃん」って考え方まで行ったんですよ。俺のラップについてこれる音がないんだったら要らなくね? 俺だけで成立するんじゃね? ってとこまで行った挙句のここだから、ある種、何でもいいっちゃ何でもよくなってるんですよね。ただ明確にかっこいい/ダサいっていうのはある。わかんないけど、さっきMitsuyoshiさんが言ってた、ベースがいなくなったから低音は誰が担当するのか、みたいな問題。もちろん矢車がDJで流すのもありだし、シンプルなベースラインだったらmikichuが左手で弾きながらでもできるだろうし、その場合、上ネタが疎かになるんじゃないかとか、問題は出てくると思うけど、DJがいることによって、曲によってケースバイケースで変えていけるんですよ。あと、いまのところMitsuyoshiさんはあんまり目立ってないけど、絶対にいるといないじゃ違うんですよ。俺は(デモ音源を)ミックスしたからわかるんだけど、切った瞬間にめちゃくちゃ薄くなるんです。俺の目標はそれをちゃんとリスナーにわかってもらう音を作ること。バランスは崩さないままで、Mitsuyoshiさんの存在感をどう聴かせるか。それが空間の作り方だと俺は思ってて。いまはまだ平面でしか音楽を捉えられてないけど、縦横の空間もあるから。だからいまエンジニアの勉強を再開しようと思ってて、今度、代官山の蔦屋書店に行ってどっさり本を買ってきます(笑)。音のディレクションを全部俺がやれるようになれば、みんなは演奏だけ練習すればよくなるじゃないですか。もちろん思いついたことはやればいいけど、できないことは無理にやんなくていい。mikichuとか音作りは苦手だから。

mikichu うん。そこは任せたい。

GOMESS その代わり「この音よくない?」って聴かせたときに「こういうのとか?」って言って一発で絶妙なメロディをくれるんですよ。それは絶対に俺にはできないことだから。で、矢車はそれを聴いて「あ、それに合うネタ俺知ってるっす」とか言ってドラムのフレーズ持ってくるみたいな。で、Mitsuyoshiさんはそれを全部包み込める。バランサーだから。

Mitsuyoshi ありがとう。

mikichu 今日イチの笑顔出た(笑)。

GOMESS 歌うアホウドリでもバランサーだし。

Mitsuyoshi まぁそうだね。基本的に陰でそっと。

GOMESS でも絶対いなきゃダメなとこにいるから、常に。すごくまとまりがよくなるんですよ。

6月16日、代官山LOOPで(撮影:田村玲央奈)

──お互いに足りないところを補い合えてる感じですね。

GOMESS もちろんベースがいたらもっとよかったけど、その分は俺らで作ればいい。それができないメンツじゃない。俺らは100人分の演奏ができると思うの。その要は矢車だと思ってるし。

矢車 イェー。

GOMESS 俺、夢と未来は別だと思ってるんですよ。で、夢には岡田さんがいたけど、未来にはいなかった。未来にはちょっと前まで矢車もいなかったけど、真剣に話して、絶対にいるなって確信した。だから未来に確実にこの4人はいるんです。もっと増えるかもしれないけど、とにかく4人がいた上で、正確にはわかんないんだけど、コーストみたいな大きなハコで、ワンマンかフェスなのかわかんないけど、すげえ気持ちよく演奏してるイメージがあるんですよ。しかもそれは日常なの、まぐれじゃなくて。たった一回のチャンスを日常だと思ってるだけなのかもしれないけど。それはたぶん再来年の春か、それより早いか。さっきmikichuが言ってた波っていうのがそこに直結してくると思うし。だから焦る必要はないんだよ。俺はゴメバンでかっこいい音楽を作って、それが結果的に売れる時代にしなきゃいけない。それはできると思ってる、まわりに大人もいるし。俺らはいい音楽を作る。ただそれだけをしていきます。

(2016年6月22日)

 4人になってまた変化していきそうなGOMESS BAND。当サイトでは今後もちょいちょい4人の声をお届けしたいと考えています。お楽しみに!

[PROFILE]

ごめす……1994年生まれ、静岡県出身。2012年に『BAZOOKA!!! 第二回高校生ラップ選手権』に出場、準優勝。以降、「自閉症と共に生きるラッパー」として注目され、YouTubeにアップした楽曲「人間失格」 で脚光を浴びる。2014年、LOW HIGH WHO? PRODUCTIONSから1stアルバム『あい』、翌年には2nd『し』を発表。フリースタイルから生まれる彼にしか書けない言葉は多くの人の心を捕らえ、ドキュメンタリー映画『遊びのあと』(太田達成監督)やETV『ハートネットTV』、NHK総合『ニッポンのジレンマ』、テレビ朝日『フリースタイルダンジョン』などメディア出演も多数。今年4月には他者を表現する初めての試みとして『情景 -前篇-』をリリース。

GOMESS BAND(仮称)はアイドルシンガーソングライターmikichu、6月にアルバム『無我夢中』をリリースしたばかりの4人組・歌うアホウドリのギタリストMitsuyoshi、GOMESSの相棒というべきDJ矢車との4人組。

http://www.lowhighwho.com/GOMESS/





[UPCOMING EVENT]


VORTEX

日時:7月22日(金)開場18:00/開演19:00

共演:THE THROTTLE/AD再騰ニ三夫/ゆうせいから

会場:下北沢GARAGE

料金:¥2,500

詳細:http://www.garage.or.jp/6054



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