高岡洋詞
鈴木友里絵「歌は人そのもの。もっといい歌をうたえるように、人間として成長したい」
最初にインタビューを載せた饗庭純と同様、鈴木友里絵に出会ったのも今はなき『MUSIC にゅっと。』の弾き語り女性シンガーソングライターオーディションだった。「強くなれなくても」をギター弾き語りで披露。人懐っこいメロディ、伸びやかで温かい歌声、チャーミングな笑顔で、審査員の伊藤豪英さんから個人賞をゲットした。
彼女が輝くのはステージの上だけではない。行動力もすごくて、事務所にもレーベルにも所属しない完全D.I.Y.でありながら、バンドを招集し、クォリティの高いCDを作り、自らブッキングして大阪や名古屋にも遠征し、ファンクラブ「ゆりえ帝国」も設立。コミュニケーション能力の高さを武器に、ファンを巻き込んで自ら道を切り開く姿はあっぱれだ。3rdアルバム『palette』リリースパーティ(7月20日)直前、多忙な彼女に話を聞いた。
●シンガーソングライターはよく知らなかった
──ホームページには2012年に音楽活動を始めたとありますね。
はい。大学2年のときです。
──それまで楽器はやっていなかったんですか?
誕生日プレゼントにお父さんが買ってくれた安いアコギを触ったことがあるのと、大学で軽音楽部に入って、ヴォーカルをやりながらエレキを友達に借りてちょっと弾いたくらいですね。曲を作ったこともあるけど、ボイトレの先生が鼻歌にコードを付けてくれるっていう形でやった程度でした。シンガーのオーディションを受けてもなかなか受からないし、音楽活動のイメージが湧きにくかったんですけど、2年生のときにワタナベエンターテイメントカレッジっていう養成所に特待生で入れることになって、シンガーソングライターコースに1年間ダブルスクールで通って、活動を始めました。
──以前から歌手になりたいって気持ちはあった?
もともと歌うのは好きで、ミュージカルがすごく好きだったんです。中2のとき、3年生の送別会でピアノの子と一緒にKiroroの「未来へ」を歌ったんですけど、すごく気持ちいいし反応もよくって、歌だったら自分を表現できるかもなって思って、歌手になりたい、自分の曲を作ってみたいって思いました。始まりはそこですね。
──それから3〜4年かかって実行に移したわけですね。
シンガーソングライターってよく知らないし、「大きい舞台でやりたいな」って漠然と思ってた感じです。ボイトレに通って、曲を作ってみたりカヴァーをしてみたりしましたけど、ひとの曲はなんか違うなって思って、ワタナベに通い出したこともあり、やっぱりカラオケじゃなくて演奏も自分でできたほうがいいなって思って、アコギを練習し始めて、曲も作り始めて……って感じです。
──もともとシンガーソングライターに憧れていたわけじゃないんですね。
どっちかっていうとバンドが好きだったし、オーケストラをバックに大きな舞台で歌いたいって思ってたから……ミュージカル女優になりたかったのかもしれないです。いつかは生のオーケストラと一緒に、演出をいっぱい盛り込んだミュージカルみたいなステージをやってみたいですね。
──ちなみに好きなミュージカル作品は?
舞台を見ていちばん好きだったのは、森公美子さんがやってた『天使にラブ・ソングを〜シスター・アクト〜』。映画で好きなのは『レント』とか『レ・ミゼラブル』とか、ディズニーもミュージカル映画に含めるなら『塔の上のラプンツェル』が大好きです。
──シンガーソングライター活動をする上でお手本にしたアーティストはいますか?
最初にコピーしたのは、教本に載ってたYUIさんの「Good-bye Days」だったかな。「このコードきれいだな」とかインスピレーションをもらって書いたりするんですけど、バンドでサポートしてもらうようになってからは、東京事変とかaikoさんとかをよく聴いてます。
──大学2年で弾き語りを始めて、未知の世界に足を踏み入れたわけですが、大人のお客さんばっかりでびっくりしませんでしたか?
最初は正直、戸惑いがありました。フェスやバンドのライヴのイメージが強かったから、もっと若者が多いんだと思ってたんです。でも、女性アーティストには男性の、男性アーティストには女性のファンがつくのは当たり前だし、しかも女性シンガーソングライターでアコースティックだと、まったりリラックスして聴けるような癒し系の雰囲気になるし、疲れを癒しに来てくれてるのかな、次の日また頑張るエネルギーになってるのかなって思うとうれしいです。
──物販やチェキなんかにも果敢に挑戦していますよね。そういうニーズがあるのなら、できる範囲のことはやってやる、みたいな。
最初は「アイドルじゃない! 音楽を聴いて!」って抵抗があったんですけど、ふと逆の立場になって考えてみたら、好きなアーティストのグッズとか写真なら普通にほしいし、チェキとかも記念に残るしうれしいよな……って思いまして。だから今はやってやろうじゃん!っていろいろ挑戦してます。最近はお客さんが愛おしく思えて仕方がないんですよ。この前、楽曲提供した音ゲーのフェスに出たんですけど(7月10日「EDP Presents BEMANI ROCK FES '16」)、会場が品川ステラボールで、お客さんが2000人くらいいて、グッズの販売が10時スタートだったんですけど炎天下で6時くらいから行列してて、開演も終演も押したのに、みんなすごく楽しそうなんですよ。その様子を見て泣きそうになっちゃって。気持ちもお金もすごくかけてくれてるわけじゃないですか。短いステージだけど、命をかける勢いでやらないといけないなってあらためて思いました。ステージから見えるお客さんの顔が愛おしすぎて、やばかったです(笑)。
──ファンクラブ「ゆりえ帝国」をスタートさせたのもそういう気持ちの表れですね。
大阪に遠征に行ったときに、「鈴木友里絵を知ってくれてる人が増えてきて、侵略してるような気がします」ってMCで話したのがきっかけです。ファンクラブを作ろうと思ったときに、あだ名が「すー」なので、「すーまにあ」とか、「すーふぁんず」とか、最初はかわいい名前も候補にあったんですけど、関西のファンの方たちから「ゆりえ帝国は?」って言われて、ツイッターでアンケートをとったら圧倒的支持だったんですよ(笑)。じゃあこれでいこ、面白いし、って。メルマガの登録のときにみんな選べるんですよ、職業というか肩書きを。「勇者」とか「コックさん」とか「朝起こす人」とか(笑)。
──帝国の民はいま何人くらいいるんですか?
250人くらいですかね。若い人もいますよ。音ゲーのファンの方とか、あと青学の後輩で水溜りボンドっていうお笑いコンビがいて、ユーチューバーなんで毎日動画を上げてるんです。その動画のエンディングテーマ(「チャンネル登録してねの歌」)を担当してたことがあって、そっちつながりで飛んできてくれた人もいます。
──それだけの人たちが見てくれていると思うと、責任もありますね。
一回大変なことしちゃって、メルマガはBCC: で送らなきゃいけないのにTO: で送っちゃったんですよ。教えてくれた人がいて、大変だ!って思って慌てて「女帝より お詫び」って送ったんですけど(笑)、冷や汗ものでした……。
──基本的にはなんでも前向きに乗り越えていくタイプですか?
けっこう自分のことに関してはネガティヴなんですけど……自信がなかったりとか。でも、どんなことも誰か大切に思ってる人がいるって思うと無下にはできないし、なるたけよくしたいなって思ったら前向きになります。
──でも自分のことに関してはネガティヴなんですね。
そのネガティヴなところをなんとかしたくて曲ができるのかもしれないですね。ひとに言えないなとか、言ってもちゃんと伝わんないなってときに、歌にすれば伝わるかな、みたいな。
──僕は朗らかで元気な鈴木さんの姿しか知らないから、例えば「八方美人」みたいな曲を聴くと意外性があってドキッとします。
あれは泣きながら書きました(笑)。いつも元気に振る舞ってる人でも、誰にも言えない悩みや苦しみは絶対にあると思うんです。うちのお母さんとかもそうだし。「セカイイチ」みたいなウキウキの恋の歌は、負の感情がないから素直に楽しく歌いたいけど、つらいときこそ音楽が助けてあげられたらいいなって思うと、ちゃんとリアルに裏の感情も描きたいみたいな。
7月20日、渋谷TAKE OFF 7での「すーのnew ALBUMお披露目会!!」から(以下同)
●「厳しくて優しいお母さん」との葛藤
──性格はお母さんに似たんですか?
似てますね。だからわかる部分もあるけど、それをどうにかしたくて他の人を見たり感じて、自分で構成してきた部分もあるかもしれないです。
──「ねえ、ママ」では《あなたの理想の子どもにはなれない》と歌ってますよね。《どうしても叶えたい夢がある》とも。
あの曲を書いたのが留年が決まったときだったんですよ(笑)。就職するのしないのって話にもなって、5年通うことが決まってしまったので「就職しないんだったら別に大学に通う必要もないし、やめなさい」って言われて。
──厳しいですね。
大学もすごく好きだったし、途中でやめたくなかったからやっぱりどうしても行きたくて、ケンカをして3日間くらい家出しました(笑)。応援はしてくれてるけど、シンガーソングライターとしてもっと成長したい、メジャーにも行きたい、誰でも知ってるアーティストになりたい、みたいな夢も話せなくて。そういう状況で書いた曲です。
──夢をお母さんに話せなかったっていうのはちょっと意外です。
わりと厳しい家なんですよ。友達と旅行とかにもあんまり行けないみたいな。妹はすごくまじめで、わたしはそれを切り開いて自由にさせてもらってるんですけど、両親にはこうしてほしいって望みがあるし……。それはわかるけど、やりたいことがあるときは無理してでも押し切っちゃうから、その罪悪感もあって。「やりたいことをやりなさい」って理解はしてくれてるんですよね。完全に悪者だったらある意味、楽なんですけど。
──お母さんも本気でそう思ってるんじゃないですか? 最終的にはわかってくれると思いますよ。
うんうん。すごく信頼してくれてると思います。今はライヴにも来てくれるんですよ。中高のときはまったくしゃべらなくて、大学に入ってからなんですよ。それこそ音楽活動を始めたぐらいから。最近はいい感じです。
──オーディションのとき他の審査員の方が、自ら働きかけて相田みつを美術館でライヴをやっていると教えてくれて、すごい行動力だなって思いました。
「強くなれなくても」っていう曲が相田みつをさんの「にんげんだもの」っていう言葉にインスピレーションをもらって作ったものなんです。しばらく「にんげんだもの」ってタイトルで歌ってたんですけど、CDに入れるってなったときに、やっぱり黙ってるのはイヤだ、ちゃんと言いたい、と思って。それで有楽町の相田みつを美術館にまず行って、帰ってきてからお手紙を書いて、音源と歌詞を添えて送ったんです。そしたら「一度お話ししましょう」ってご返事をいただいて、館長さんたちとお会いする機会があり、結局タイトルだけは変えることになったんですが、ぜひこの曲を広めてほしいと言ってくださって。そのときに「せっかくの縁だから年始にライヴをしませんか」ってお誘いいただいて、以来、4年連続でやらせていただいてます。たぶん来年もやる予定です。
「強くなれなくても」MV
──筋を通したんですね。
それも両親から言われて育ったことなんで。挨拶とか礼儀とか、相手がどう思うかを考えなさいとか。
──キャラは明るいしまじめだし、となるとお友達も多そうですね。
多いかもしれないですね。中高大と授業中はすごくうるさいか寝てるかのどっちかで(笑)、みんなもいじってくれたりして。あと、いろんなことをするのが好きだったので、クラブも何個か入ってたりして。楽しいんですよ、ひとと一緒にいるほうが。
──人見知りはしないほう?
たぶんしないと思います。人見知りってあれですよね? ドキドキする……。
──「あれですよね?」って言ってる時点でしないことがわかります(笑)。
あはは。初めての人と話すときはドキドキしますけど……ははははは(笑いが止まらない)。
──初めて会った人と目を合わせにくかったり、パーティ会場の隅っこで体育座りしてたり……。
あぁ、それは大丈夫ですね(笑)。緊張はするし話しづらさも感じるけど、賑やかなほうが場が盛り上がるしな、と思うと、頑張ってガッツリしゃべります。
──ゲームの音楽も自分で持ち込んだんですか?
ライヴをしてたらKONAMIの人が聴いててくれて「一緒にやろうよ」って声かけてくれたんです。最初は「なんだこの人、大丈夫かな」って感じだったんですけど(笑)、信頼できる人だったので、一緒にやることになって。
──マックハウスのネットCMへの楽曲提供とかもあったし。
ストリートライヴをしてたら名刺を投げてくれて、「あとで連絡ください」って書いてあったんです。連絡したら、マックハウスのネットCMを作るプロジェクトに関わってた映像制作の人で、「セカイイチ」を使いたい、なんならCMに出て、みたいな。
●五輪のテーマソングを書きたい
──他のインタビューで読んだんですけど、夢は「5年以内に紅白に出ること」だそうですね。
オリンピックのテーマソングを書かないといけないんです(笑)。
──あと4年か。すぐ来ちゃいますね。
めっちゃ心震えるような曲を書いて、開会式で歌ってもらいたいです。そして紅白に出て、朝ドラに採用されて……。ドラマの主題歌を書きたいんですよ。音楽通だけじゃなくて、普通の人にも浸透させたいと思うと、何かに寄り添う音楽のほうが親しんでもらえるし、聴く人の生活にも寄り添えるかなって。そういうところから有名になるのが理想の売れ方だなって思います。
──見た目や人柄よりも、まず曲を好きになってもらいたいと。
やっぱり長生きしたいじゃないですか、アーティストとして。年を経ていくにつれて「いい音楽だな」って思ってもらいたいから、ポッと出てポッといなくなるよりは、ジワジワのほうがいいかなって。名前より曲みたいな。「最近この声よく聞くね……あ、この曲もこの曲も同じ人じゃん!」みたいなことになったら最高ですね。
──そういう目標に向かって自分自身を売り込むことに意欲的な人みたいなイメージがあるんです。
なかなかうまくいかないですね。CMに使ってほしくていろんな企業に曲を送ったりしてるんですけど、もしかしたらYouTubeとかネットのほうが近道なのかも。
──それこそユーチューバーの後輩に訊いてみるとか。
毎日同じ時間にみんなが見そうな動画を上げるっていうのはすごいですよね。ツイキャスで有名になった子もいるし、ネットってすごい。でもそういう人はみんな定期的にやってるんですよね。
──努力したからといって成功するとは限らないけど、努力しないと成功する可能性もない。人生って理不尽で、投入したコストに見合う成果ってなかなか出ないんですよね。成功するにしても、しすぎちゃったりとか(笑)。
ちょうどいいところがいいなー。「こんだけやったんだから、ちょっとはいけるだろ……あ、ちょっといった!」みたいなのがいいです(笑)。
──作った歌が自分の手を離れてみんなのものになっていけば素晴らしいですよね。
快感! めっちゃ理想っていうか、ほんとに素敵ですよね。自分の曲を誰かが口ずさんでくれてたりカヴァーしてくれたりしたら、めっちゃうれしいし。いつも出させてもらってるラジオ局の人が、新しいアルバムに入ってる「助手席」を「この曲ってこういうことだよね?」っていろいろ解釈してくれたのが、それが合ってるとか間違ってるとかじゃなくて、すごくうれしかったんですよ。
──自分の歌が人の気持ちをなんらかの形で動かしたっていうことが喜びなんですね。
そう! そのためにやってるようなものです。
──じゃあ、鈴木さんのファンは積極的に感想を伝えていきましょう。
ありがたいです。でもファンの方はやっぱりよく言ってくださるじゃないですか。厳しい意見がほしいときもあるので、そういうときはバンドメンバーとか、お世話になってる人に意見をもらったりします。自分的にイマイチだったときにほめられると、モヤモヤするじゃないですか。厳しいことも言ってほしい。落ち込むけど。「あー死にたい」とか思うけど(笑)。
──とても精力的に活動していて、行動力にはいつも感心していますけど、現実的な問題もあるでしょう。
バンドは確かにお金がかかるから、ここぞってときにやってます。ギャラだけでは賄えなくても物販とかで頑張るし、たとえ収支はマイナスになっても、サポートしてもらうことで成長もできるし、お客さんにもいろんなものを見せられるし。ほんとは毎回バンドでできたらいいんですけど、限界があるから、今も弾き語り中心でやってます。ひとりのほうが身軽にいろいろ出れますしね。
●世界征服したい(英語できないけど)
──新しいアルバム『palette』はほぼ全曲バンドですよね。
バンドだし、ストリングス、ブラスも。あとアコースティックでパーカッションも入れたり。参加メンバーが13人なんですよ。前の『TOMORROW』は5人だったので、めっちゃ増えました。音は電子楽器以外はぜんぶ生です。
──お金もかかったんじゃないですか?
だいぶ食費から切り詰めましたね、一日5食が3食に減ったくらい(笑)。でもとにかくお金以上のすてきな演奏をしてくれてるので、本当に感謝です。恩返ししなきゃ!
──アルバムの出来には満足していますか?
最高だと思います! もちろんメジャーだったらもっとすごいのができるのかもしれないけど、いまの鈴木友里絵としては最大限に自分らしいものができたんじゃないかなって思ってて。いろんな人の愛情もいっぱい詰まってるので、それも含めて最高かな、みたいな。
──まんぷくレコードって自主レーベルですよね。どういうところで売るんですか?
ライヴ会場と、あと通販を自分のHPでしてます。今回は流通をかけなかったんですよ。かけてもあんまりプラスになる面がないなって思って。配信はしてもいいかなと思うんですけど、やったことがないので……。ハイレゾやってみたいな。
──この後は全都道府県を回るツアーに出るんですって?
そうなんですよ。泊まる場所とか移動手段とか何も考えてないんですけど(笑)。地方だと平日はブッキングが難しくて、でも行けるのは平日だしな……ってなった場合はストリートでやります。できるだけ地元のアーティストの方とつなげてもらって一緒にやりたいなって思ってコツコツ組んでます。関西や名古屋には遠征してますけど、初めて行くところが多いので楽しみです。最悪、野宿でもいいやって思ってて。
──お母さんが心配しそう(笑)。
お母さんには言えないですけど、そのほうが旅って感じがするじゃないですか。どこの町に行っても泊めてくれる人がいるっていうのが目標です。
──ゆりえ帝国の勢力範囲を全国に拡大していくわけですね。
最終的には世界征服したいですね。英語できないけど。留年したのも英語を落としたからなんですけど(笑)。
──鈴木さんのツイッターによく出てくるぶたげい(総合舞台芸術愛好会)は軽音楽部と同時に入っていたんですか?
自分で作ったサークルなんですよ。中高大と青学なんですけど、高3のとき選択科目でオペラの授業があって、みんなで舞台を作ろう、みたいな。そのメンバーが全員大学に上がったときに、前身となる団体を作って1年かけて舞台を作ったんです。みんな就活とかあって、一度はなくなったんですけど、やっぱり舞台ってすごいな、学生のうちにやらなきゃ後悔するって思って、もう一度メンバーを集めて作ったのがぶたげいです。演目も既成のものじゃなくて、自分たちで脚本も歌も全部作ろうって言って。初年度本公演『夢の還るところ』(代表/役者として参加)、次年度新歓公演『夢に惹かれて』(音楽監督)、次年度本公演『いま、境界をとびこえて』(音楽監督/作曲)と3公演に関わって、今は後輩たちが引き継いでくれてます。
──就職はしなかったんですよね。1日をどう過ごしていますか?
卒業してからのほうが忙しいかもしれないですね。ライヴも増えたし、毎月、遠征にも行ってるし、3月にワンマンやってから7月のレコ発まではレコーディングもあったし。空いてる日がたまにあったら、曲を作ったり衣装を買いに行ったりしてます。
──ワーカホリックですね。CDの作りもアーティスト写真もしっかりしているし。
CDのデザインは自分でやりました。アー写はカメラマンさんに撮ってもらったり、友達に撮ってもらったり。あんまりプロの手は入ってなくて、できる範囲でやってます。
──前回のワンマン(3月21日「すーぱーてぃー!!〜卒業(仮)ワンマン〜」@渋谷TAKE OFF 7)で宮城県塩竈市にボランティアに行ったときの映像を流していましたが、社会貢献活動にも興味があるんですか?
去年の夏と今年の春、大学のボランティア団体のプロジェクトに応募して行きました。こういう言い方はよくないかもしれないんですけど、いわゆる社会的弱者というか、苦しんでる人、困ってる人を助けたい気持ちが強いんです。介護施設にもよく行くんですよ。元気になってもらいたい!って思って、自分で連絡を入れて行ったんですけど、実際に行ってみたら、思ってたのと逆で、すごく心が温かくなって、わたしのほうがパワーをもらっちゃったんです。何か所か行ってますけど、いまは「何かしてあげたい」というより「好きだから会いたい」って感じですね。歌って人そのものかなって思うので、もっといい歌をうたえるようになるために、人間として成長していきたいです。
(2016年7月16日)
「助手席」MV
追記:8月6日、OTOTOYで『palette』と同時発売のシングル「しおがまのうた」のハイレゾ配信が始まりました。彼女の行動力の証明ですね! http://ototoy.jp/news/84087
[PROFILE]
すずき・ゆりえ……1993年生まれ、東京都出身のシンガーソングライター。青山学院大学2年生だった2012年に音楽活動を始め、7月に初ライヴを行う。主にアコースティックギターの弾き語りで活動するが、最近はバンドでのライヴ出演も並行させている。2013年から毎年、新春に相田みつを美術館でフリーライヴを行ったり、母校の学園祭「青山祭」のテーマ曲を作って歌ったり、KONAMIの音楽ゲーム『GITADORA』『jubeat』やマックハウスのオリジナルブランド「Navy Store」のネットCMに楽曲提供したりと、持ち前の行動力で自ら道を切り開いていく。これまでに『NATURAL』(2012年)、『セカイイチ』(2013年)、『TOMORROW』(2014年)の3枚のCDをリリースしており、7月20日に新作『palette』を発表したばかり。
[RELEASE]
鈴木友里絵 / palette
2016/07/20発売 / まんぷくレコード
収録曲:[1] 助手席 [2] 江ノ島ハナビ [3] 髪を黒く染めました [4] MIRAGE [5] 砂時計 [6] あたりまえの日々 [7] Runner
彼女一流の素直な言葉、人懐っこいメロディ、人柄そのままののびのびと温かい歌声をポップなアレンジで包んだ4thアルバム。就活する友人たちに贈るエール「髪を黒く染めました」あり、大学のダンスサークルの公演に提供した「MIRAGE」あり、学生主催のチャリティ駅伝大会のテーマ曲「Runner」ありと、大学生活の総決算的な趣だ。宮城県塩竈市でのボランティア体験から生まれたシングル「しおがまのうた」(写真下)も同時発売。ご購入はこちら→http://suzukiyurie.com/su-shop/form/
[UPCOMING EVENT]
大曽根クルール主催 出演者全員新作CDリリースLIVE「オトナツ ~音の溢れる夏祭り〜」
日時:8月5日(金)
共演:大曽根クルール / 小川エリ / 大家うすしお / TWO#41069(ツーストローク)
会場:大阪・梅田amHALL
料金:前売¥3,000(1D別)
★大阪でのレコ発で、東京以外では初のバンドでのライヴ(ピアノ:向江陽子、ギター:川上雄貴、藤代佑太郎、ベース:五十嵐顕人、ドラム:坂入康仁)
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