• 高岡洋詞

GOMESS BANDインタビュー#3 「一番飛んでて一番尖ったものがポップ」


 アップが遅れてしまいましたが、GOMESS BAND略してゴメバン3度目のマンスリーインタビューです(矢車は仕事のため欠席)。この日は台風5号が襲来し、大雨、洪水、暴風、波浪、雷、高潮と警報・注意報が乱れ飛んでいた。GOMESS宅にお邪魔するなりハイペースで作っているという新曲のデモを聴かせてくれたが、mikichuの歌メロが印象に残る「Nobody Dance」、Mitsuyoshiがアコギに歌に大活躍の「ESCAPE」、ファンキーでポップな「Simplified」、ピアノのループに乗せたシリアスな物語がGOMESSのソロを彷彿とさせる「蝉」と、ここ1カ月で出来た4曲はいずれも強力。すでにライヴでは披露し始めているので、ぜひご自分の耳と目で確かめてみていただきたい。

8月24日、青山・月見ル君想フで(撮影:宮本昇

●アイデアとまとめはGOMESS、中間はみんなで

──今日は3回目の結成記念日、赤ちゃんで言えば3カ月ですね。

mikichu まだバブバブ言ってる状態ですね(笑)。

Mitsuyoshi 3カ月経ってだいぶ形がまとまってきた気がします。それぞれの人の役割がついてきたというか。

GOMESS 役割って?

Mitsuyoshi 曲作りもそうだし、この人はこういう性格なんだなってこととか。

GOMESS Mitsuyoshiの見解が聞きたいです!

Mitsuyoshi まだ矢車はわからないんだけどね。あと前回のインタビューで俺、mikichuともっと仲よくなりたいみたいなことを言ったと思うんですけど、謎は深まるばかり、みたいな(笑)。音楽的にはすごいアスレチックなフレーズが多いなって思って。こないだ自主企画のライヴ(8月10日、shibuya HOME「mikichuのセッションナイトvol. 1」)を見に行ったんですけど、これは絶対音感のある人しかやらないなって思ったのが、モーニング娘。「ザ☆ピ〜ス!」のイントロの“HO〜ほら行こうぜ!”っていう掛け声をピアノで弾いてたんですよ。絶対音感がある人はあれを音で聴いてるんだなと思って。音楽の聴き方が全然違うなと思ったし、その個性がフレーズにも出てる。

GOMESS 蝉の鳴き声とかもピッチで聴けるの?

mikichu 蝉は微妙。動きがないから。人の話し声のほうがまだ近いよね。

Mitsuyoshi 人の話し声は音としてとれるの?

mikichu どうだろう……とにかく「ザ☆ピ〜ス!」は何の疑いも持たずに普通に弾いてた。

GOMESS 蝉の声にもピッチあるからね。

mikichu 頑張ろうと思えば弾けるかもしれない。

GOMESS 鍵盤を探ってったら絶対見つかるよ。ドラムの音にもピッチはあるからね。スネアいじると音変わるじゃん。もっといろんな音を俺はいじっていきたい。

Mitsuyoshi 音、好きだもんね。

GOMESS 最終的にどんな音もmikichuが弾けるようになったらかっこいいなって思ってる。蝉の声弾いたらかっこいいでしょ。

Mitsuyoshi それやったらやばいね。

mikichu すぐできるよ、それなら。

GOMESS シンセサイザー的にはけっこうやばい音だよね。ミンミンミンってところをきれいにカットしたらずっと同じ音でできるから。虫って面白いくらい同じ周波数の音をずっと鳴らすから、たぶん簡単にループできる。あれ(「蝉」にサンプリングした蝉の声)も短いやつをずっとループさせてるから。

Mitsuyoshi そうなんだ。

GOMESS たぶん蝉のアカペラで聴いても……。

mikichu 蝉のアカペラ(笑)。

GOMESS 蝉もキャストとして捉えるから(笑)。アカペラで聴いても違和感ないつなぎになってるんだけど、めっちゃ細かい波形を見ると、わかります。なんでも弾けるようになると面白いよ。まっすぐ伸びてる音って意外といっぱいあるから、日常に。信号機のピッポーン、ピッポーンって音もキーを変えていったら面白いからね。

Mitsuyoshi なるほど。めっちゃ音を聴いてるね、GOMESSはね。

GOMESS mikichuとは違う音の聴き方をしてるのが面白いよね。俺は基本、ピッチじゃなくて質感で聴いてるから。

──曲を作るときはどういうふうにやっているんですか?

Mitsuyoshi だいたい最初はGOMESSがアイデアを出すんですよ。

GOMESS 参考曲を聴かせて「こういう感じ」みたいな言い方だったり、口頭で伝えることもあるんですけど。だいたい最初にドラムを打つよね、仮で。そのグルーヴでふたりにイメージを伝えることがけっこう多いかも。

──それを聴いてMitsuyoshiくんとmikichuは自分のアプローチを考える?

mikichu 最初は「どうしよう、マジ……」って思うけど、結局「あー、やっぱ自分天才」って思う(笑)。「蝉」は最初違うフレーズ弾いてて、「なんか微妙だね」みたいなところからふと生まれたもので、けっこう気に入ってます。自分が「あ、これいいかも」って思って、みんなの目がキラキラし始めた瞬間がいちばん楽しいですね。

GOMESS mikichuが「ちょっと弾かせて。ドラムかけといて」って言っていろいろ弾いてたときに、あのフレーズが出たら「そのままずっと弾いてて、録るから」って言って、急いで準備して「録るよ、はいっ」みたいな。

mikichu ずっと弾いてないと忘れるから(笑)。

──そうやってみんなのアイデアをGOMESSくんがまとめていくわけですね。

GOMESS 頭とケツを俺がやってる感じです。

mikichu わたしたちは産み落として帰るみたいな。

GOMESS 託児所でーす(笑)。

──ふたりは最終形を知らなかったりする場合もあるんですか?

GOMESS 大方のアレンジを知らないで帰ることはけっこうあるよね。

mikichu あるある。

GOMESS 「蝉」はピアノのループを作ってランラランのコーラスも録って頭の16小節を作って、ギターも1回分だけ録って、ふたりが帰った後に蝉の声を足したり、ギターをアウトロに流用したり。俺のなかではヒップホップ的な作り方ですね、この曲は。弾いてもらったフレーズを素材にして、バラしてサンプリングしてる感じかもしれない。

──すると自分が弾いたフレーズがこんなふうに使われたのかって驚くこともある?

Mitsuyoshi あります。2回使うとは思ってもみなかったし。

GOMESS バンドマンの発想ではないよね。同じフレーズを2回使うっていうのは。

Mitsuyoshi 斬新だと思ったけど、それが合ってていいんだよね。

GOMESS ライヴのときはまたやり方を考えてて、アウトロがギターだけじゃん。あそこをピアノも一緒になってわーっとやったらかっこいいと思うよ。俺は歌わないで。気が済むまで長い尺やっちゃっていいと思う。

Mitsuyoshi 次のリハでやってみよう。

GOMESS いつもこんな感じなんですよ。俺がやりたいことをパッと言って、やるのは全員で。

mikichu けっこうライヴ当日になって気づくこととかあるよね。こないだの新代田FEVER(8月8日「爆音チャンピオンまつり '16夏」)とかやばかったですよ。新曲3曲やるのに、みんなでゴメちゃんちで曲作り頑張りすぎて、リハーサルぎりぎりになって焦ったけど。

GOMESS 俺らのリハが終わる時間に着いたもんね。そこからセッティングみたいな。

──どの曲をやったんですか?

GOMESS 「Nobody Dance」と「Simplified」と「ESCAPE」です。

mikichu しかもわたし本番の1時間前ぐらいに歌詞渡されたから。「mikichuここ歌って」って。1時間ってことはないかな(笑)。

GOMESS うちにまだいたときだから3時間前ぐらいかな。あの曲はあんまりmikichuのパートがないから。「Simplified」もmikichuのパート考えてあるよ。

mikichu わーい。

GOMESS この曲の“Hail yeah”も(デモでは)観客に言わせる流れになってるけど、あそこも変える。最終的にはそうなってもいいけど、音源的には俺とMitsuyoshiが“Hail yeah”でコール&レスポンスして、矢車がスクラッチ入れたりして、最後だけ“Everybody, hail yeah!”ってやったらかっこいいじゃん。

GOMESS(8月24日、青山・月見ル君想フで/撮影:宮本昇)

●アイデア百出、GOMESSのYouTube劇場

──すごい。GOMESSくんのアイデアがいつもこの調子で出てきたら、ふたりはついていくのが大変なのでは?

Mitsuyoshi なるべくメモするようにしてます(笑)。出てきたときに「これやばいな」って思ったら。

GOMESS メモしてくれるよね。

──書記みたいな。GOMESSくんもアイデアを忘れないで済みますね。

GOMESS 俺、アイデアは忘れないんですよ。逆に決まったものを覚えるのが無理。歌詞とかライヴの構成とか。

──あー、逆にね。

GOMESS だから本番けっこう申し訳ないことも……(苦笑)。おとといかな、リキッドルームで久々にソロのライヴがあって(8月20日「RUN THIS TOWN」)、DJを矢車に任せたんですけど、最近バンドでセットリスト決めてライヴするようになったから、もう大丈夫だよって自信満々で、MCの流れとか全部考えたのを伝えて「よろしくね!」っつって、本番ひとっつも同じことやんなかったんですよ(笑)。でもあいつはそれが当たり前で、もう慣れてるから、完璧なタイミングでバッと入ってくる。

mikichu さすが。

GOMESS 矢車が1年ぐらいがっつりバックDJをやってくれてたときに言ってあったのが、「俺、曲振りとか決めてもどうせできないから、おまえが主観で客席にいてライヴ見てると思って“ここでかけたらかっこいい”ってタイミングでイントロかけな。たぶん俺と合致するから。俺はいつもヒップホップのかっこいいタイミングでやってるから、おまえがかっこいいって思うタイミングだったら、俺がしゃべってる最中でも入っていいよ」って。

──あうんの呼吸ですね。そのへんにもGOMESSくんの自己プロデュースのうまさというか、パフォーマーと演出家を兼ねているような才覚を感じます。

GOMESS 観客の目線でいつも見てますからね、自分のライヴを。

──没入してる人みたいにお客さんには見えてると思うんですけど。僕も最初に見たときはそう思ったし。

GOMESS 自分の世界に入り込んでる人みたいなイメージがついてますよね、確かに。演出側だからね、こっちは。

──僕はそこをしつこく言っていこうと(笑)。実はGOMESSは全部見えてるよって。でも傍目にそう見えないのはいいことでもありますよね。

GOMESS 計算高く見えないってことですもんね。

──アツくなってエモくなってるだけみたいに見えてたほうが得だったりするじゃないですか。

GOMESS アツくなってエモくなってもいるんですけどね(笑)。でも同時にそれをクールに見てるから。

 (ここでスマホの災害警報が鳴ったのをきっかけに雑談に。今夜は早く帰らないとね、というありがちな話から、この夜GOMESSがライヴで共演するMOP of HEADの名前が出る。「彼らはケミカル・ブラザーズに影響を受けたんだって」と言うと、GOMESSは「俺もケミカル好きなんですよ」と言い、そこから連想ゲーム的に彼の好きな曲をいくつか聴かせてくれた。ビッグビートつながりでインフェクテッド・マッシュルーム「Becoming Insane」(2007年)→ラテンの要素つながりでUVERworld「シャカビーチ~Laka Laka La~」(同/イントロのみ)→FIRE BALL「アンジェリータ」(同)→同じビートを使っているというつながりでBENNIE K「Joy Trip」(同)。GOMESSの解説に、ふたりが納得したり感想を述べたり。ゴメバンがアイデアを共有する過程を垣間見るようで面白かった)

GOMESS 「アンジェリータ」と「Joy Trip」の2曲は同じ時期に聴いてて、同じビートでこんなに違う音楽ができるんだってすげえ感動してたんですよ。

Mitsuyoshi ほぼ真逆のスタイルの曲だもんね。

GOMESS けっこうこういうことを起こしていきたいんです。例えば「Simplified」のビートとかでめっちゃ泣ける曲とか作ってみたい。「あれ? この曲おんなじビートじゃん!」みたいな。ヒップホップとかクラブミュージックではあるかもしれないけど、J-POPにはあんまりない発想だと思うんで。『みなみけ』のアニメが似たようなことやってて、1期のオープニングが代表曲なんですけど(「経験値上昇中☆」)、2期3期で別の曲を作るじゃないですか。そこからけっこう期間が空いて、4期の『みなみけ ただいま』っていうのをやったときに、そのオープニング(「シアワセ☆ハイテンション↑↑」)が完全に1期の曲を踏まえて違うメロディを乗せてて、超かっこいいと思ったんです。アニソン界隈でも粋なことをやるって話題になってました。こういう楽しみ方って流行るんじゃないかとちょっと思ってます。

Mitsuyoshi こういうテクニック、なんていうんだろうね。たぶん名前ついてないよね。

──広い意味でのパロディなのかな。自己言及っていうか。

GOMESS 自分でパロディしちゃうのって超かっこいい。

mikichu UVERworldも「誰が言った」(2014年)って曲に「激動」(2008年)のメロをそのまま入れたりしててかっこいいよ。

GOMESS あの人たちもヒップホップ好きだからね。

mikichu 自分オマージュってかっこいいよ。

GOMESS ヒップホップではフレーズ単位でそういう風にやる手法があるんだけど、これ(『みなみけ』)は1曲まるごとじゃん。ものすげえって思った。

mikichu(8月24日、青山・月見ル君想フで/撮影:宮本昇)

●GOMESSとmikichuが音楽を始めた理由

──最近ゴメバンはどれくらいのペースで集まってますか?

GOMESS 今はちょっと少ないです。前は週2、3回だったけど、最近は週1集まってるかな?って感じ。

mikichu わたしが知らない間に誰かが来たりはしてる。

GOMESS だいたいmikichuが1回来たらMitsuyoshiは3回来て矢車は2回来てるかな。

mikichu それでわたしが産み落としたものがめちゃめちゃよくなってて、数日後に「はっ」ってなってる(笑)。

──いちばんゴメ宅に来ているMitsuyoshiくんはGOMESSくんの影響を受けたりしてますか?

Mitsuyoshi めっちゃ受けてます。1カ月くらい前、やばいくらいここ来てて、一回、朝まで8時間ずっと音楽を聴き続けたことがあって(笑)。マジでGOMESS音楽好きすぎるなって。

GOMESS 修業だからね(笑)。

Mitsuyoshi 俺、それをやってめちゃめちゃ音楽が体に入ったんですよ。そうだ、音楽ってこういうものだ!っていうのがすごいあって。8時間連続で本気でスピーカーの前で音楽聴いたことってなかったから。

GOMESS 本気で言ってる? 俺、休みの日とか20時間ぐらいずーっと聴いてるよ。

Mitsuyoshi 8時間ストレートは今までなかった(笑)。休みながら聴くよ、普通は。

GOMESS 前は毎日10時間フリースタイルしてたから。10時間聴いて10時間ラップしてたんだよ。ライヴ活動の合間に暇すぎて、ツイキャスで10何時間か連続でフリースタイルし続けるっていうのをやってたから。

Mitsuyoshi やっぱりインタビューで言えないようなやばい経験をいっぱいしてるから、すごいんですよ、人間として。だから付き合ってると考え方が変わる。あと思ったよりポジティヴっていうか前に進もうとしてる人間……アルバムだけ聴いたらこういう人間だと思ってなかったっていうか。もっとネガティヴな人だと思ってて。

mikichu 確かに。あんま会話とか好きじゃなくて、言葉にできないからラップで伝える系の人なのかと思ってたら、言葉でも伝えられるしラップでも伝えられるっていう、ダブルの攻撃力の高さがすごいなって。

GOMESS 別に攻撃してないよ(笑)。

Mitsuyoshi めちゃめちゃ面白いですよ、考え方とか。非凡です。

GOMESS どういうところが面白いですか?

Mitsuyoshi まず、本人が気づいてるかはわからないけど、毎日雰囲気がすごく違う。

GOMESS それ、たまに言われるけど、自分ではわかんないんだよな。

Mitsuyoshi で、たぶん頭の使い方が他の人と違う。GOMESSが寝る瞬間っていうのが本当にやばくて、さっきまで普通に会話してたその1秒後に寝息立ててるんですよ。頭をフルに使ってるからかなんなのかわかんないんですけど、スイッチが切れる瞬間の切り替えがやばくて。

GOMESS ゲームやってて「このBGMやばいよ」とか言って急にマウスいじり始めて「Mitsuyoshiちょっとギター弾いて」「ちょっと待って、この試合終わってから」みたいな。あれもスイッチだもんね。

mikichu っていうかゲームやっててBGMやばいって言って曲作り始めるのやばくない? ゲームやりなよ(笑)。

ヤット(マネージャー) けっこうゲームのBGMにインスピレーション得てるよね。

GOMESS 作りたかったからね、小学生のころ。俺が音楽を始めたのはそれからだから。「RPGツクール」っていうアスキー社が出してたソフトのけっこう古参ユーザーなんですよ。Dante98から始めて、2000やって、2003やって、XPまでやってる。コンシューマー版も1はやってないけど2、3、4はやってるし。あとゲームボーイ版もやってますね。一時期ドット絵も描いてたし。

mikichu 幅広すぎる(笑)。

GOMESS その流れで音楽を自分で作りたいと思って効果音を作り始めて。だから音に強いんです。効果音ってどうやって作るんだろうって思って、いろはすのペットボトルの音が面白いからそれを逆再生したりものすごくゆっくりにしてみたり、ピッチを変えてみたり、ディストーションかけたりしまくった結果はまっていって、同じころに作曲を始めて、みたいな。SE、BGM、ドット絵を自分で用意すれば、基本的にあとはプログラミングすればゲームって作れるから。自分で全部やりたかったんです。

Mitsuyoshi mikichuはいつごろから作曲してたの?

mikichu わたし3歳からカワイに、5歳からヤマハに通ってたんですよ。うちは別に音楽一家じゃないんですけど、お母さんが自分は習ってなかったから娘にはピアノを習わせたいって軽い気持ちで通わせてたら、先生が「この子は耳がいいからちゃんとやったほうがいいですよ」って言ってくれて、お母さんも「耳がいいなら調律師さんとかになってくれたらいいな」って感じで特進コースみたいなのに入れてくれて。そこでは毎年末に自作曲のコンクールをやってたんです。デフォは小3から参加なんだけど、小1から「出たい」って言って楽譜書いて出てました。それが曲作りの始まり。最初は歌詞はなくて、ピアノだけで物語を表現するっていう、今よりも高度なことをやってた(笑)。音を作るみたいなことを考え始めたのは高校のときで、DSのKORGのシンセサイザーソフト(DS-10)を仲間が教えてくれたから、それをいじってライヴで使ってて。そのころ向上心やばくて、ステージの上でヨーグルトをストローで吸ってノイズ出したりしてた(笑)。誰も理解してくれる人がいなかったけど。

Mitsuyoshi そりゃそうだな。

mikichu 見た目が面白かったりひとと違うことをやることに魅力を感じてて、音質がいいとか悪いとかわかんなくて、「mikichuのシンセは音がしょぼい」って言われたんですよ。でも、そこを追求するのはあんまり好きじゃないから、それより曲をたくさん作る人になろうって思って、ピアノで曲を作るようになった。超サイケデリックな高校生だったけど、一切話題になんなかった。東京でやってればよかった(笑)。

GOMESS 東京だったらもうちょっと理解されたかもね。

mikichu 当時はまだミクシィとかしかなかったから、バズりにくかったっていうのはあると思う。

GOMESS 俺、Audioleafってサイトに超投稿してた。

mikichu わたしMySpace

GOMESS MySpaceもやってたけど、Audioleafのほうが探しやすかったし、某メジャーレーベルから連絡が来たこともあるよ。上げとくもんだなって思ったけど、メールに返信したら2回目は来なかったな。

Mitsuyoshi(8月24日、青山・月見ル君想フで/撮影:宮本昇)

●それぞれのタイプの違いを生かした制作スタイル

──さっきいろんな曲を聴きながら「こういうのやろうよ」みたいに盛り上がっていましたけど、あんな感じでいつもやっているんですか?

mikichu 遊びながら曲が出来てく感じです。

GOMESS アイデアは止めようとしなければいつまででも出せるんですよ。考えようとすれば出ないことはあり得ないから、俺は。

Mitsuyoshi それがやばいよね、GOMESSは。

mikichu わたしは集中力が持続しなくて、短期集中型だから、コンペに出す曲とかも〆切3時間前とかに始めて普通に提出してます。

GOMESS 俺は持久力がクソあるんすよ。

Mitsuyoshi GOMESSは持久力やばい。

GOMESS mikichuが短期集中型だから、彼女の作業はなるべく簡潔にして、俺が後から作業するっていう。そのバランスが最近とれるようになってきた。

mikichu わたし冷静になっちゃうと全部面白くなくなるんです。「曲できた!」って言って、時間が経つと「あれ? なんか……」って、その温度差が嫌いだから、一気に完成させちゃいたいみたいな。

GOMESS 俺は「あれ? なんか……」ってなってからプラスしてく作業が超楽しいんですよ。

──そういう各メンバーの個性の違いみたいなものを踏まえた制作プロセスが固まってきた感じですかね。Mitsuyoshiくんはどんなタイプなんですか? GOMESSくんが持久型、mikichuさんが短期集中型だとすれば。

Mitsuyoshi 俺はけっこう考えるほうですね。突発的に出てきたりはしないです。こういうのが必要なんだなって聞いて、考えて考えて、こういう感じにしようって決めて。

GOMESS Mitsuyoshiが考えるの時間かかるから、その間に俺は音をいじります。

mikichu わたしはその横で寝てます。

GOMESS mikichuをどう扱うかがいちばん大変です。どうやったらテンション上げてくれるのか。どんなおもちゃをあげたら喜ぶのか(笑)。

Mitsuyoshi mikichuはテンション上がらないとダメだもんね。

GOMESS 適度なタイミングで新しい機材を導入したり、俺が革新的な発想をしていかないと飽きちゃうんじゃないかって思って、毎回ね。上がったら「やばっ! やばっ! 何かやりたい!」って言うから。

mikichu それまでは待ってる。

GOMESS それまでは寝てていいよって。

mikichu さっき聴いてもらった「蝉」も、最初「こういう曲作りたいんだよね」ってアイデアをもらったときは「えー、なんか暗い……せっかくゴメバン明るくなって『Mステ』っぽくなってきたのに、ちょっと……」って思ったけど、作ってみたら「マジかっけー、このバンドやば!」って。

──どういう段階で切り替わるんですか?

mikichu 自分がいいフレーズを弾いたら(笑)。みんなの作りたいものと自分のいいなって思うものが合致した瞬間がうれしくてテンションが上がるんです。

Mitsuyoshi 「蝉」のあのフレーズはやばかったよ。僕がコード決めたんですけど、mikichuは自分に馴染みがないコードだから出るかどうかわかんないみたいなこと言ってたんですよ。その10分後くらいにあのフレーズが出て「やべえ!」って。

mikichu けっこう馴染みがないものを排除したいっていうか、アルバム聴くときも気に入った1、2曲しか聴かないタイプで。どんなにアイドルが出てきても、自分がいいって思ったアイドルを超えない限りあんまり聴かないし。けっこう安定を求めるから、知らないものに触れると不安になる。

──でも、やればできるってことですね。

mikichu やればできることに気づけたのはゴメバンのおかげです。ずっとひとりでやることが多かったから、世に出るまで誰の検問も受けないものばっかりで、それが自分的にもつまらないなって思ってて、「本当にこれでいいのかな」みたいに思いながらやってたから。今はみんなに聴いてもらったりとか、馴染みがないものから作ったりとか、そういうのがすごい楽しい。

矢車(8月24日、青山・月見ル君想フで/撮影:宮本昇)

●未来からきたGOMESS

──前回のインタビューで、バンド経験のないmikichuにとってはゴメバンでの体験は発見の連続なんじゃないかって話をしましたけど、ある程度Mitsuyoshiくんにとっても同様じゃないですか? 音楽の作り方が違うでしょう。

Mitsuyoshi 全然違いますね。蝉の鳴き声を入れようとは思わないですから(笑)。そもそもDAWで作るってことがバンドではまずないし。弾いてるときと、それを聴くときって全然違うじゃないですか。自分の演奏を後からいじるっていう発想が浸透してないと思います。自分たちが演奏すること前提なんで、使う楽器も限られるし。そういうリミッターがないのが面白いですね。

──GOMESSくんはアレンジやディレクションをするときライヴでのことはどれくらい想定していますか?

GOMESS 常に考えてます。「ここ、mikichuが弾くパートがないから歌ったら?」とか、見栄えも含めて。mikichuがこの動きをしてるときにMitsuyoshiはどう動くかとか、視覚的にかっこいいかどうかも。近くから、遠くから、右から、左から、いろんな視線を気にしてます。ステージの上では全員で自分なんで。バックダンサーやフィーチャリングで誰かに出てもらうときも同じなんですけど、ダサいことやられると困るんですよ。俺がフロントやってる時点で俺の仲間なんで、ダサいやつとつるんでると思われたくないんで。ダサいやつはダサいやつと群れるから(笑)。

mikichu 「ダサいやつはダサいやつと群れるから(笑)」。

Mitsuyoshi 「(一同爆笑)」。

mikichu 全員性格悪い(笑)。

──でもそのとおりだと思いますよ。

GOMESS そうですよ。ダサい音楽を聴くとダサくなるから、ダサい音楽は最小限にしておきたい。ただダサい音楽を理解してることは大事。何がダサいのか知ってないと、自分がダサくなってるときに気づけないから。今いろんな種類の曲を作ってるけど、どれかの曲にバンド全体が寄りすぎちゃったら超ダサいと思うんですよ。いくつもあるなかの一個だからいいんであって。mikichuとMitsuyoshiが頑張ってくれたから、次は俺色の曲をいくつか作りたいっすね。結局フロントは俺なんで。こないだのFEVERのときに、なんか俺のライヴじゃないみたいだなって思ったから。

mikichu わたしは逆に、ゴメちゃんっぽくないことをバンドではやりたいのかなって思ってたから、あんまりそこを疑問に思ってなかったんだけど、バンドでゴメちゃんっぽい曲を作ったのもかなりしっくりきたし、よさがあった。

GOMESS 俺はみんなにめっちゃ気を遣って曲を作ってるから。

Mitsuyoshi それはわかるよ。

mikichu やばい。ひとの気遣いに全然気づかないタイプ(笑)。

GOMESS ライヴで「Amazing Grace」を最初にやるのも、mikichu始まりを大前提にしてるからだし、ちょっとドキドキするあのドラムの入りで始めるのも、矢車が暇にならないようにしてるから。みんなが目立つように俺なりに考えてるんですよ。俺のバックバンドみたいになるのはイヤだっていうのは最初に話したとおりで、それに忠実に頑張ったのが「Nobody Dance」と「ESCAPE」。「Nobody Dance」の歌詞、やばいでしょ(笑)。

Mitsuyoshi そうだよね。あんなこと歌わないもんな。

GOMESS めっちゃ韻踏んでるしね。

mikichu あれを気に入った人たちを徐々にこっちの世界に引き込めれば勝ちじゃない?

GOMESS 徐々にじゃない、一発だよ。

mikichu 一発でいけるかな。

GOMESS 一発じゃないとダメ。どんどん寄り道をしない世の中になってきてるから。iTunes配信とかのせいで、例えば「Nobody Dance」を気に入ってくれても、他の曲を15秒ずつ試聴して「なんかパッとしねえな」って思われたら終わりだから。ライヴでも、「Nobody Dance」だけ好きになられても絶対リピーターにはなんないから、全編を通して、一回だけ見にきた人のその一回を逃さないのが大事。だから「Nobody Dance」や「ESCAPE」を効果的に置く必要があるし。「ESCAPE」が超よくて、その後の曲がまたよかった、っていう味つけをどんどんしていかなきゃいけなくて、そのためにいろんな曲を作ってるんですよ。

mikichu そういうアルバムを作るアーティストはずっと好きだもんね。

GOMESS RHYMESTERとかRIP SLYMEはそうだからね。俺がいちばん好きなBENNIE Kはその真骨頂だし。世界中の音を取り込んでやるみたいな。ラテン、サンバ、カントリーに琴も鳴らして、ライヴ見たらシンガーとラッパーとDJの3人組って、何だそれ! 何でもできんじゃん、こいつら! みたいな。さっきのインフェクテッド・マッシュルームも、サイケトランスからはみ出したやつらじゃないですか。俺、あの感じが超好きなんですよ。RIP SLYMEなんか、最近は開き直ってラップしないからね。

──やっぱりはみ出してるものとかいろいろ混じってるものが好きなんですね。

GOMESS いちばんサディスティックですよ。いちばん飛んでるし、いちばん尖ってる。でも世間ではそれがポップとされる。ものすごく面白い現象だと思う。

──少し前にGOMESSくんと話したとき、すごい勢いで新曲を作ってて、mikichuは少しびっくりしてるって聞いたんですけど、Mitsuyoshiくんはどうですか?

Mitsuyoshi 俺はもっとどんどんやるべきだと思ってます。

GOMESS 全然少ないと思ってます。だってできるんだもん、もっと。できるのにやらない意味がわかんないし、早く売れたいなら早く作ったほうがいいと思ってる。結成1年と結成3カ月で同じ量作れるなら、3カ月で作ったほうが確実にかっこいいし売れる。「結成○カ月? マジっすか?」って大人がびっくりする量を作らないとダメ。メジャーレーベルは週に10曲作れとか言ってくるから。その量と質を誰にも要求されずに自分たちの驀進力だけで作ってれば「ぜひ」ってなるよ。だから本当は1週間合宿とかしたい。

mikichu マジか。UVERworldがやってるとこでやろうよ(笑)。

GOMESS そんな金はないから俺んちでだけど、2泊3日でアルバム作れるよ。Mitsuyoshiがうちに泊まるときってめっちゃ効率上がるからね。

──じゃあ次の目標は合宿ですかね。

GOMESS いつでもできるよ!

mikichu マジ? カレー作ったりしたいわ。

Mitsuyoshi でもGOMESSもmikichuもほんとやばいですよ、音楽家として。

GOMESS 期待してていいよ。俺は未来からきてるから。普通の人は未来を見るとき、今の時点から見るから問題が立ちはだかる壁みたいに見えるんだって。俺は逆で、壁の向こうから見てるの。「こうしたら壊れるから大丈夫」みたいな。やり方はわかってる。それに必要な努力なり条件があって、クリアしないと壁は壊れないけど、クリアすれば壊れることはわかってるから。絶対の根拠がある、自分のなかで。

Mitsuyoshi なるほどね。

GOMESS だから俺が超自信を持って言ってる問題解決系の発言は信用してほしい。もし失敗したら全力で責任とるから。

Mitsuyoshi こういう鋭い部分を持ちながら、楽しむ時間も大事にしてて、ヒューマニティ的な部分で尊敬してます。

GOMESS ヒューマニティやばい(笑)。「HUMAN」って曲作りたいね。

ヤット 「人間失格」からの「HUMAN」?

GOMESS そこ、つなげられたくないけどね(笑)。延々と水滴の話をしようと思ってたから。ぽたっと水滴が落ちると桶があって、水がどんどん溜まっていって、溢れたらそこには排水溝があって……みたいな。

mikichu 早いね。思いついて数秒で。

GOMESS 見えたものを言ってるだけだから。

mikichu 見えるってことは未来からきてるってことだね。

GOMESS 未来人でーす。この発言はカットしてくださいね、バレると大変なんで(笑)。

(2016年8月22日)

9月4日、渋谷・LOFT9「ゴメスと誰かの誕生日」で(撮影:宮本昇)

[PROFILE]

ごめす……1994年生まれ、静岡県出身。2012年に『BAZOOKA!!! 第二回高校生ラップ選手権』に出場、準優勝。以降、「自閉症と共に生きるラッパー」として注目され、YouTubeにアップした楽曲「人間失格」 で脚光を浴びる。2014年、LOW HIGH WHO? PRODUCTIONSから1stアルバム『あい』、翌年には2nd『し』を発表。フリースタイルから生まれる彼にしか書けない言葉は多くの人の心を捕らえ、ドキュメンタリー映画『遊びのあと』(太田達成監督)やETV『ハートネットTV』、NHK総合『ニッポンのジレンマ』、テレビ朝日『フリースタイルダンジョン』などメディア出演も多数。今年4月には他者を表現する初めての試みとして『情景 -前篇-』をリリース。GOMESS BANDはシンガーソングライターmikichu、歌うアホウドリでも活躍するギタリストMitsuyoshi、GOMESSの相棒というべきDJ矢車との4人組。

http://www.lowhighwho.com/GOMESS/

https://www.instagram.com/gomessband/

※GOMESS BANDのホームページも近日公開!

[UPCOMING EVENTS]

TOKYO BOOTLEG CIRCUIT '16

日時:10月10日(月・祝)

会場:東京都 渋谷ライブハウス6会場

料金:前売 ¥3,400 / 当日¥3,900

各プレイガイドにて発売中

詳細:http://www.tokyobootleg.jp/circuit2016/

HAPPY COMET CLASH vol. 1

日時:10月13日(木)開場18:00 / 開演18:30

開場:大塚Hearts+

料金:前売 ¥2,500 / 当日 ¥3,000

出演:ぱいぱいぱいチーム / GOMESS BAND / 笹口騒音&ニューオリンピックス / 十四代目トイレの花子さん / ハザマリツシ

詳細:http://hearts-web.net/plus/live-schedule/1013-4/




#カ〜コ #ヒップホップ・ラップ #ロック #音楽 #GOMESS #ゴメス #mikichu #みきちゅ #Mitsuysohi #矢車 #GOMESSBAND #ゴメスバンド #インタビュー

  • Twitter Social Icon
  • Facebook Social Icon
  • Instagramの社会のアイコン
  • Tumblr Social Icon

© 2016 Takaoka Hiroshi. Tokyo, Japan.