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© 2016 Takaoka Hiroshi

  • 高岡洋詞

ソロデビューから1年、「五感☆採集」は波瀾万丈! 武井麻里子のD.I.Y.な日々


 昨年6月、「五感☆採集」と「D.I.Y.」を旗印にソロ活動をスタートさせた武井麻里子は、小さな体にでっかい闘志と行動力を秘めた人である。事務所にもレーベルにも所属せず、ライヴのブッキングやプロモーションは自力でコツコツ、会場売りのグッズには手作りのものも。知り合いのアーティストから楽曲提供を受けて(作詞は彼女自身)、ミニアルバム『NEW』を3月にリリースした。苦しみも喜びも全身で味わい、個性的な歌声にその感情をあますところなく乗せて、あくまでもポップに歌い上げる。波瀾万丈の「D.I.Y.な日々」について話してもらった。

●組織ではできないことがひとりだと案外できる

──「D.I.Y.」を旗印にしていますが、本当に全部ひとりでやっているんですか?


 そうですね。ライヴの物販やメール対応を手伝ってくれるスタッフはいますけど、ほぼひとりでやってます。CD(『NEW』)のデザイナーも、プレス工場も自分で探したんですよ。

──すごい。でも例えば作曲みたいにどうしてもひとの力を借りなきゃいけない部分もありますよね。その人選は?

 自分でしました。これまで音楽をやってきたことと聴いてきたことを生かした内容にしたいので、本当に親交があった人とか、ずっと好きだった人を選ぶようにしてるんです。Her Ghost Friendも前から友達ですし、SAWAさんもサワソニに出していただいたりしてお世話になっていますし。おかもとえみちゃんは去年対バンしたときに初めてライヴを見てクラクラするほどの衝撃を受けて、もらったCDを普通に聴いてて、友達であると同時にファンなんです。「まだ誰にも楽曲提供したことない」と言われて、これはチャンスだ!と思って、第1弾になろうと。

──損得勘定じゃなく、友人・知人たちとの友情と敬意に基づいたコラボレーションということですね。レコーディングはスタジオで?

 「STAR PLAYER」とか「白昼夢★バカンス」とか、シングル曲はスタジオで録りましたけど、予算がオーバーしてしまったので、それ以外はプロトゥールズを勉強して家で自分で録りました。それをエンジニアさんにミックスしていただいて。

──よかったですよ。少なくとも自主制作だからって差し引きして聴かなきゃ楽しめないような出来ではないと思います。

 よかった。エンジニアさんのおかげですね。そこにはけっこうこだわったので。

──完成したアルバム、ご自分ではいかがですか?

 わたしはもう最高だなって思ってます。だからもっとたくさんの人に知ってほしいなって。でも、思ったより反響があるんですよ。タワーレコードさんとかでも大きく展開していただいてますし。みなさんのおかげで、今のところは大満足な感じです。

──流通、宣伝となると、ひとりでは手が回らなくなりませんか?

 流通はウルトラ・ヴァイヴさんにお願いしてるんですけど、宣伝はもはやけっこう自分でできるのでは?って思ってます。今度FMヨコハマのイベントに出させてもらうんですけど(3月24日「TOWER OF MUSIC」)、それもCDに自筆の手紙を添えて送ったら気に入ってくださったのがきっかけですし、OTOTOYで配信とインタビューをしていただいたのも、渾身のアピールが届いた結果なんです。ニュースサイトへのプレスリリースも全部自分で送ってます。ひとりでできないことってあるけど、そんなにないのかも、って思いますね。組織だとかえって難しいようなことも、ひとりで行くと案外すんなりいくケースもあるってことを学びました(笑)。やっぱり相手も人間だから、「こいつ、ほんとにひとりでやってるのか」ってわかると、けっこう面白がってくれたり、手助けしてくれるんですよ。もちろん相手にしてくれない人もいるけど……。

──傷つくような経験もありました?

 ちょっとここでは言えませんけど、いっぱいありました。フリーでは解決できないような問題が起こることもあります。このアルバムはわたしのつらい思いとうれしい思いの結晶ですね。

──血と汗と涙と……。

 ほんと、今回に関してはそうだと言えます(笑)。これまでだいぶ庇われてたし、安全なところにいたんだなって。やっぱり矢面に立つって違いますね。つらさもうれしさも色が濃すぎて、すごく脳が活性化してます。リリース前なんか毎日不安で、よく眠れなかったりして……。楽しみな反面、けっこうギリギリの精神状態でした。

──ごはんが食べられなくなったりとかは?


 食欲はありました。まだ死ねないって思ってたんですね(笑)。

──自分がすり減っちゃうような感じはしませんでしたか?

 たぶん自我がすごく強いから、そんなにすり減らないですね。表層の部分はけっこういつも傷ついてて、しょっちゅう泣いてるんですけど、芯の部分が頑丈なのかもしれません(笑)。メンタル弱いって思ってたけど、案外強いのかも。なにくそって思いがありますね。

──僕は武井さんの歌詞が好きなんですよ。感覚的だけど理屈っぽくて(笑)。

 理屈っぽいですよね(笑)。ありがとうございます。そういう方、めったにいないんですよ。

──ほんと? 面白い詞を書いてると思うんですけどね。

 これからですね。まだまだ知ってくれてる方の絶対数が少ないから。

──CDに歌詞カードも入ってないですしね。

 ジャケットの裏に載せたQRコードを読むと歌詞が見られる仕様にしてるんですよ。ついでにホームページを見ていただきたいという気持ちも込めて。いろんな方に売り込んでるんですけど、今後、作詞の仕事が増えていったらいいなって思ってるんです。作詞っておばあちゃんになってもできる仕事じゃないですか。

ミニアルバム『NEW』トレイラー


●手を抜いてる部分はどこにもない

──ソロで活動したいって気持ちはずっとあったんですか?

 いや、なかったですね。やれるはずがないって勝手にどこかで思ってました。でも、いざやってみたら案外できるかもって思ったのと、思った以上にまわりの方たちが助けてくれたんですよ。コンセプトは自分で企画書みたいなものを作ったんですけど、「五感☆採集」っていうテーマで、いろいろなアーティストの五感を失礼ながら採集して、自分なりの見せ方をしていくという。やっていくうちに、「わたしすっごいD.I.Y.してる!」って気づいて、最近は「D.I.Y.」というテーマも加えてます。D.I.Y.女子が歌うエレクトロポップ、っていうイメージですね。

──ファンの方を「助手」と呼んでいるのもコンセプトの一部ですか?

 「モノノフ」(ももいろクローバーZのファンの呼称)みたいに名前が必要かなって思って考えたときに、「ひとりでやってるし、助手がいてくれたらいいな……そうだ、ファンの方に活動の『助手』を務めてもらえばいいんだ」って思ったんです。実際、積極的に告知を手伝ってくださったり、武井麻里子という存在をまわりに拡散してくれたりして、ただファンというだけじゃなく、一緒にシーンを作ってくれているという信頼があります。

──いま経験値をグングン上げている最中だと思いますけど、最初のうちはほんとに手探りだったのではないですか?

 何からやっていいかわからなかったので、すごく大変でした。やらなくてもいいことまでやってたと思います。ホームページも自分で作ってますからね。でも本当に大変なのは、全国流通するとなるとひとつコトが大きくなることのほうなんですよ。他の人を巻き込んでの仕事になりますから。

──ああ、シビアに数字の話になってきますしね。

 それもあるし、やっぱり不確定要素が増えるっていうか、自分だけがやるべきことをやっていればうまくいくってものじゃなくなるので、違った大変さがありますね。

──活動の参考にしているものってありますか?

 いろんな人のホームページとかライヴスケジュールとか、すっごく見てます。自分のやってることが特殊すぎるので、内容に関しては参考にしないほうがいいと思ってるんですけど、どんなライヴに出るかとか、どんなグッズを作ってるかとか、主に運営面ですね。話題になっているPVは絶対見ますし。「こういうのが流行ってるのか」って。世の運営がやってるようなことをやってます。

──アウトソースする部分のコントロールまで含めてのセルフプロデュースですよね。やっぱりすごい。賢くないとできないですよ。

 そんなことないですよ。必死で血ヘドを吐いてやってますから。他の人と同じになったら意味がないので、オファーする作曲家の方にもこだわってますし、イベントとかもとにかく自分らしさを大事にしてます。こないだのリリースパーティ(3月17日「brand NEW me」)も、どうしてもわたしらしい3マンにしたかったので、苦労しましたけど、昔からの友達のJaccaPoPと、大好きなMaison book girlに出てもらいました。わたしがこだわりが強いせいか、ファンの方の中にもコアな音楽好きさんが多いので、安易なことをするとがっかりさせてしまうし。「そうきたか」とか「さすが」って思ってもらえるようなチョイスにしなきゃ、っていうのは、絶対に譲っちゃダメなポイントでした。

──手を抜けないところが多そうですね。

 手を抜いてる部分はどこにもないって自信を持って言えます。ひとつ手を抜いたら崩れてしまうので。武井麻里子のソロってひとつの世界じゃないですか。その世界観をいま自分はエンタテインメントとして見せているわけだから、そこにほつれがあってはいけないんですよ。わたしが発信するあらゆるものがそのエンタテインメントを体現していなきゃいけないって思ってます。だからいつも考えてますよ、何か面白いことないかな……って。あんまり他の人がやってないことをやりたいんですよね。今度インストアライヴをやるんですけど(4月14日、タワーレコード渋谷店)、その特典も普通のチェキとかじゃつまんないから、住所をお預かりして直筆の手紙を送るんです(笑)。手作りクッキーを配ったこともあるし、ひとりだからこそできることをやろうと思ってます。

──尊敬しますけど、疲れないかなって心配になります。

 ファンの方たちもみんな常に心配してくれてるんですよ。「まりちゃん倒れるんじゃないか」とか「急にやめちゃうんじゃないか」とか。でも大丈夫です。たぶん、これからもやり続けると思います。

カジュアルでガーリーなオリジナル衣装も目を楽しませてくれる

●つらいことも実は楽しいんじゃないかって

──武井さんは言いたいこともやりたいこともちゃんとあるし、それを堂々と表明しますよね。正しく自己顕示欲があって、負けず嫌いの野心家ってイメージがあります。

 「わたし目立ちたいから、みんなよろしく!」みたいなタイプですね(笑)。そういうところを好きって思ってくれる人が増えてほしい。いま来てくれるファンの方たちはそういう人が多いんです。精神を好きでいてくれるタイプっていうか。みんな信じられないくらいいい人たちなんですよ。

──みなさんの優しさ、温かさはライヴにお邪魔すると実感しますね。そういうご自分の性格はどのようにして作られてきたと思いますか?

 とにかく学校が厳しかったから、なにくそって思いが常にありましたね。「いつか見てろよ」みたいな。辛酸なめ子さんも言ってたように、封じ込められたからこそ想像力が豊かになったみたいな部分はすごくあると思います。禁じられているから思い描くほかないんですよ。そうするとものすごく妄想力が鍛えられるというか。

──そういう部分が花開いちゃった体験とかは? 例えばある音楽を聴いたとか。

 音楽はあったと思います。音楽に限らず芸術はすごく好きでしたけど。とにかく厳しい環境にいて、生まれつき負けず嫌いで、「なにくそ、自分はこんなんじゃないぞ」っていう思いにいろんな芸術が色づけをしてこうなったと思いますね。質問の答えにはならないかもしれませんけど、十代のときにものすごく精神的につらかった時期があって、大好きなバンドのライヴに行ったらそれが治ったんですよ。チリヌルヲワカっていうバンドなんですけど、最前列で見て、ほんとに感動して。ライヴってちょっとした心の病気なら治しちゃうぐらいの力があるんだって思って、わたしもそういう音楽をやりたいと思ってます、ずーっと。もしかしたらわたしのライヴを見て、あのときの自分みたいな思いを抱いてる人もいるかもしれない、きっといる、って思って、全力でやってます。

──ひとりで活動することの大変さはいっぱいうかがいましたけど、醍醐味は何ですか?

 何かを成し遂げたときの喜びたるやハンパないですよ。だからやめられない、みたいな。ソロを始めてよかったです、ほんとに。

──ひとりの不便のほうが他人とやる便利よりまし?

 わたしはそうです。ひとりのほうが向いてるって思いますね。こうしたいっていう思いがすごく強いからやれてるけど、ひととやるときってそれが邪魔になることもあるから。でも、だからこそ一緒にいてくれる人は大事にしたい。ファンの方もそうだし、最初にお話ししたスタッフの子は、いろんなことを一緒に一所懸命考えてくれるんです。それがすっごく心の支えになるんですね。「OTOTOYのインタビュー決まったよ」とか「お店で大きく展開してくれてる」とかいうことを一緒に喜んでくれる人がいるだけで、全然違うんですよ。ひとりでやることのいちばんきついのは、喜びや悲しみを分かち合う相手がいないことですから。

──いまは社会全体に閉塞感がありますけど、自由を奪われた国民的アイドルの悲惨な姿をテレビで見せられたりして、もうみんな辟易してるんじゃないかと思うんです。自由にやりたいことをやってる人はみんなに勇気を与えるし、今後はそういう人が評価される世の中になっていくはず。

 うんうん。自由な人を認めるようになってほしいですよね。

──そういう意味でも僕はD.I.Y.な武井麻里子に期待しています。

 ありがとうございます。頑張ります。頑張ることだけはお約束します(笑)。

──頑張るのはわかりきってますんで、楽しんでほしいですね。

 あー、そうですね。楽しいですよ、基本的に。つらいことも実は楽しいんじゃないかって最近は思ってます。

(2016年3月24日)

「STAR PLAYER」MV

[PROFILE]

たけい・まりこ……さまざまなバンドでの活動を経て2015年6月にソロアーティストとしてデビューし、ウェブサイト、CDジャケット、グッズなどのデザインから、作詞はもちろん、一部の作曲も自ら手がける。さまざまなアーティストとのコラボレーションを「五感☆採集」と銘打ってテーマとして掲げ、ファンを「助手」と呼ぶなどのアイデア、アイドルっぽい見え方も辞さないバイタリティ満点のパフォーマンスで異彩を放っている。デビューと同時にシングル『五感☆採集 vol. 1』、9月に『五感☆採集 vol. 2』をリリースし、今年3月に出した1stミニアルバム『NEW』は初の全国流通盤に。サロンモデルとしても活躍中。

http://marikoprogressive.wix.com/takeimariko






[RELEASE]

武井麻里子 / NEW

2016/03/16発売 / /// records(ドキドキレコーズ)

収録曲: [1] ロマンティカ [2] 瞬間/simulation [3] 白昼夢★バカンス [4] PARADE [5] STAR PLAYER

シングル『五感☆採集』vol. 1 & 2に収録されていたSAWA作曲の [3] と空中分解作曲の [5] に、おかもとえみ([1])、CICADAの及川創介([2])、Her Ghost Friend([4])が手がけた3曲を加えたミニアルバム。バラエティ豊かなエレクトロポップに武井一流のイマジネイティヴかつ理屈っぽい歌詞と最近では珍しい平山みき系の中低音が響く歌声が乗って、ユニークな世界を創出する。上の写真はタワーレコード盤(渋谷、新宿、池袋、横浜店で販売中)、下は彼女自らデザインしたライヴ会場限定盤のジャケット。

[UPCOMING EVENTS]

COSMIC BOX vol. 22

日時:4月13日(水)開場 / 開演17:30

会場:渋谷eggman

共演:工藤ちゃん/坂口喜咲/西恵利香/ニュートリノ温泉/HYUGA RiKAKO/ぜら(DJ)ほか

料金:前売¥2,500 / 当日¥3,000(1D別)

チケット:イープラス/eggman店頭(15:00-20:00)/各出演アーティスト予約

お問い合わせ:eggman 03-3496-1561

『NEW』発売記念インストアイベント(ミニライヴ、特典会)

日時:4月14日(木)開演21:00

会場:タワーレコード渋谷店 4Fイベントスペース

観覧・入場フリー(渋谷店、新宿店、池袋店で『NEW』を購入した方に先着で配られる「イベント特典会参加券」を持参すれば当日、ミニライヴ終了後に特典会に参加できる。イベント券4枚だと握手+サイン+チェキ1枚にご自宅へ武井麻里子の直筆手紙が届く)



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