
声優も音楽も100%全力で──山村響が歌う、ほろ苦い大人の “ベッドルーム・ポップ”
昨年の大晦日、声優でありシンガーソングライターの山村響(ひびく)がファン(彼女は “ひび区民” と呼んでいる)向けに行った生配信のアーカイヴを見ていたら、2021年の振り返りの一環で僕がやったインタヴューにも触れてくれていた。ファンのみなさんも喜んでくれていて、やってよかったと心から思えた。僕にとっても2021年の仕事のなかでひときわ印象深いもののひとつだったので、自分なりに振り返ってみたい。 2021年もよく働いた。どの仕事も勉強になったが、OTOTOY(オトトイ)の連載は大きかった。不定期なので、声がかかった段階から3か月前まで遡り、新作を9~10作選んでレヴューするのだが(12月は16作になってしまったけど)、これを通していろんな音楽を知ることができた。なかでもYonYon、大和田慧、別野加奈などとともに印象的な出会いのひとつだったのが、9月にリリースされた山村響の『town EP』である。 連載の〆切の少し前に、たまたまYouTubeのおすすめ動画に出てきた「▶︎はじまりのまち」のサムネイルを「あ、ぜったくんのMVの人(トキチアキ)だ」と