
「意地悪かわいい」仲よし兄弟エンヤサン 音楽とお笑いの「刃」に魅せられて
愛知県岡崎市出身の兄弟デュオ、エンヤサンが僕は大好きなのである。弟Jr. TEAが紡ぎ出すアコースティックな音色を生かしたトラックはどこまでも心地よく、兄のY−クルーズ・エンヤの歌声は優しく繊細でおまけに色っぽい。パッと聴き、カフェや美容室でかかっていても違和感のないおしゃれポップスなのだが、よく聴けば歌詞はだいたい終始いじわるで助平。絶妙のバランスだ。「居場所のないやつらの集まり」を標榜するレーベル、術ノ穴(すべのあな)を象徴するアーティストであり「前向きでも後ろ向きでもない“横向き”サイドウェイズ・ポップ」というキャッチフレーズはお見事だが、すみっコぐらしだと思っていたらいつの間にかドセンターにいるかもしれないポテンシャルを秘めている。いい意味で信用ならない彼らの、ある意味で音楽以上にエッセンシャルなルーツが「お笑い」というのも、個人的にグッとくるポイントなのだ。 左:Y−クルーズ・エンヤ(ヴォーカル)、右:Jr. TEA(ギター、プログラミング) ●俺たちほど回り道してるアーティストはいない ──僕がエンヤサンを知ったのはミックステープ『ま